キヤノンが「岩合カレンダー」存続の危機を救った
こうして岩合さんは1986年から、WWFとのコラボカレンダーを通じて「美しい動物」の姿を伝えてきた。
しかし2021年、カレンダーの製作を担っていたオリンパスがデジタルカメラをはじめとする映像事業を譲渡したことにより、同社によるカレンダーの制作も打ち切られることになった。岩合さんは、当時をこう振り返る。
「カレンダーの制作を通してWWFに寄付を続けてきました。これが途絶えてしまうというのは悲しくて寂しかったです。しかしカレンダーのデザイナーの方が制作してくださる会社を探してくださって、キヤノンさんに出会いました」
年末が差し迫る中、キヤノンMJがWWFカレンダーの企画・制作に協賛することが決定した。そして11月15日、2022年の「岩合カレンダー」が発売された。WWFのオンラインストア「PANDA SHOP」で販売されている。
岩合さんは発売当日、ツイッターで感動を露わにした。
「今年、オリンパスがカメラ事業を譲渡したことで、WWFカレンダーが制作できない状況になります。WWFを応援したい気持ちを、キヤノンが支えてくれました。......カメラを、写真を、地球を愛するすべてのヒトに、感謝します」
――このツイートを行ったときの心境をお聞かせいただけますか。
「これまではオリンパスのおかげでカレンダーの制作を続けられたのですが、ご都合もあったでしょうに同業のキヤノンさんが引き継いでくれたというのはすごいことだと感じます。
カメラ業界が全体的に厳しくなっている状況で、キヤノンの方から『写真を撮る文化を守りたい』というお話を伺いました。キヤノンさんの写真への想い、僕の自然に対する思い、その気持ちによってこの活動が繋がったことは奇跡のような出来事です。そのことを振り返った時、感謝の言葉しか出てきませんでした」
岩合さんのツイートは12月20日までの間に、5000リツイート、2万を超える「いいね」を集めるなど大きな反響があった。ファンからは「キヤノンありがとう」などと感謝の声も寄せられている。