クリスマス和菓子が受け取り拒否、ボロボロで戻り自ら廃棄 悲痛の職人を「一通の手紙」が救った

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「たかが一箱と思われてしまうかもしれませんが...」

   なぜ、商品を受け取ってくれなかったのか。三宅さんは注文者と通話を試みたが、電話は着信拒否に設定されていた。メールも送ったが、返信はなかった。

   三宅さんは取材に「連絡が取れなくても致し方ないですし、注文者の方に負の感情は抱いていません」と話す。一方で「最初はきっと純粋に欲しくて注文したと思うんです。でも、どうして...受け取れない理由くらいは、聞かせてほしかったなと思います」と複雑な胸中も明かした。

   代引き決済で注文を受けた商品が返送されるケースは、年に2~3回発生するという。ただ、三宅さんにとってクリスマス和菓子への思い入れは特別だった。

「高い倍率を勝ち抜いて、注文していただいた方なので、私としても和菓子作りに手を抜きたくありませんでした。商品を受け取っていただけなかったのは、苦しかったです。競争に勝てなかった人にも、申し訳が立ちません」
三宅さんが作った「クリスマス和菓子」(「御菓子司 紅谷三宅」店主・三宅正晃さん提供)
三宅さんが作った「クリスマス和菓子」(「御菓子司 紅谷三宅」店主・三宅正晃さん提供)

   クリスマスイブの夜は、日付が変わる直前まで、店頭販売向けのクリスマス和菓子を作った。「どうしても、受け取っていただけなかった理由を知りたい。でも、どうすることもできない。だったら、残ってしまった気持ちをだれかに差し上げたい。最後のひと箱は、手間がかかってでも作りたいという気持ちがありました」

   三宅さんは同日、ツイッターで次のような思いを口にしている。

「たかが一箱と思われてしまうかもしれませんが、本来は誰かを幸せにするはずだったお菓子です。例え一個のお菓子でも真剣に向き合い、思い入れがあります」
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