「なんでもあり」が許されそうなソ連の科学力
――「エミーリャ」の特徴として史実のソ連に忠実な描写もあれば、大胆に脚色した架空の兵器やテクノロジーも登場します。例えばレールの幅が3mもある超広軌鉄道やエンバーミング(遺体保存)の技術など。
(ゲッサン編集部 板谷)「池田先生が子どもの頃に持っていたソ連への郷愁というか、何だかよくわからない国だけど何かやってそう、というイメージが発想に投影されているのかもしれません。池田先生の発想と津久田さんの考証が適度にミックスされてリアリティのある作品になっているのかなと思います」
(津久田)「『科学大国のソ連だったらやりかねないだろう』という謎の信頼感がありますね。常識外のオーバーテクノロジーでもソ連ならやっていてもおかしくないな、みたいな。冷戦で西側と競っていた国でかつ学歴社会でしたので、様々な分野で科学研究が進んでいました。『このままでは西側に負けてしまう』となれば何でも研究ができたのです。原子力もその代表例ですね。指導者が変わるたびに理論がコロコロ変わる社会科学より自然科学が進んでいた国でした」