判断先送りすると国益を損なう懸念
そうした中で、自民党の佐藤正久外交部会長(参院議員)は12月21日、首相会見の様子を伝える記事をツイッターで引用しながら
「ガッカリ!ある意味、態度を表明している韓国の方が立派。日本外交、大丈夫か?」
と、失望を表明した。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は12月13日に訪問先のオーストラリアで行った記者会見で外交的ボイコットについて問われ、「検討していない」と明言している。この発言を念頭に皮肉を込めたツイートだ。
佐藤氏が「日本外交、大丈夫か?」とツイートしたように、態度表明が遅れることが国益を損ねるとの危機感もくすぶっている。松野博一官房長官の12月22日の記者会見では、
「米国や英国など各国が外交的ボイコットを表明する中で、日本が明確な意思表示をしてないことで、国際社会において『日本は中国の人権問題に真剣ではない。弱腰なのではないか』と受け取られかねない、国益を損なうような懸念もある」
という質問も出た。松野氏は、10月の電話首脳会談や11月の電話外相会談で香港や新疆(しんきょう)ウイグル自治区の人権問題について問題提起をしたり「深刻な懸念」を表明したりしたことに言及した上で、
「引き続き国際社会が緊密に連携をして中国側に強く働きかけていくことが重要であると考えている」
と答弁。判断先送りが国益を損なうか否かについては直接の反応を避けた。