M-1制覇で「審査員がもらい泣き」 錦鯉の快挙はなぜここまで芸人の心を打ったのか

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芸人仲間だからこその「もらい泣き」

   今大会を象徴するようなこのシーンについて、ライターでお笑い研究家の鈴木氏は、錦鯉のバックボーンを知っているがゆえにもらい泣きをしてしまったのではないかと指摘する。

「まずは、2人の人柄です。錦鯉はインディーズのころから小さいライブであっても全力で出演し、常に笑顔で仕事をこなしてきたので、その姿を知る他の芸人からはとにかく好かれているコンビです。 特に、小規模のライブでは他の若いコンビに交じらざるを得ないという『アウェー』な状況でも、それをものともせずお客さんを笑わせてきました。それを知っているであろう審査員は、やはり、胸が熱くなったのだと思います」

   続いて鈴木氏は、錦鯉のこれまでの苦労を芸人仲間が知っているという点を挙げた。

「長谷川さんは10年前にテレビ番組の企画で、実家に10年ぶりに帰省する姿が放送されていますが、当時すでに中年ながらまだ芽が出ていなかった長谷川さんに対し、時折、母親が厳しい言葉で叱咤激励する様子が放送されていました」
「また、渡辺さんは今年2月放送の『家、ついてってイイですか?』(テレビ東京系)で父親が特集されており、そのVTRの収録が2020年のM-1の決勝前に行われたため、息子である渡辺さんの戦績に期待する父親の姿が反響を呼びました。これらの事情をテレビを介さずに知ることが出来る芸人仲間だからこそ、表彰の際にはもらい泣きしてしまったのではないでしょうか」

   最後に、鈴木氏は2人の年齢も感動を呼んだ要素であると指摘した。

「2人が『ボロボロ』の状態で天下を取ったという状況も大きいでしょう。長谷川さんは歯が8本欠けていることで有名ですし、渡辺さんは『痛風芸人』として近年知名度が急上昇しています。全力でのパフォーマンスが難しくなるはずの年齢であるにもかかわらず、それをものともしないパフォーマンスを披露したその姿に審査員は感動したのではないでしょうか」

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)

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