京王電鉄の2022年春のダイヤ改正で、「準特急」が廃止されることが決まった。
そもそも、「準特急」は京王電鉄にしかない列車種別。利用の機会がない人からすれば「どんな種別なのだろう」と思うだろう。今回は、準特急がどういう性格の列車で、それがどう改正されるのかを解説したい。
京王が誇る「特急」「準特急」の2本看板
「準特急」は、文字通り「特急」よりも少し遅い。ここで21年12月現在の「特急」「準特急」の停車駅を比較する。
特急の停車駅(新宿~高尾山口)
新宿、明大前、調布、府中、分倍河原、聖蹟桜ヶ丘、高幡不動、北野、めじろ台、高尾、高尾山口
準特急の停車駅(新宿~高尾山口)
新宿、笹塚、明大前、千歳烏山、調布、府中、分倍河原、聖蹟桜ヶ丘、高幡不動、北野、北野からの各駅
特急(新宿~高尾山口)の所要時間は48分(15時台発)、準特急(新宿~高尾山口)の所要時間は55分(16時台発)だ。
ちなみに急行停車駅は準特急停車駅に加え桜上水、つつじヶ丘、東府中に止まる。しかし準特急停車駅の京王片倉、山田、狭間には止まらない。
このように停車駅の数だけで「特急」「準特急」「急行」を比較すると、京王線(新宿~北野~京王八王子)では「特急」「準特急」の主役2本建てだが、高尾線(北野~高尾山口)では「準特急」は「急行」よりも停車駅が多く、微妙な立場になるのが興味深い。
また「特急」も極端に停車駅が少ないか、と言われると、そうでもない。実際に2013年ダイヤ改正で北野駅と分倍河原駅が特急停車駅となり、準特急との差が縮まった。
「特急」が「準特急化」する2022年春のダイヤ改正
2022年春のダイヤ改正では、2001年から運行を続けてきた「準特急」という種別が廃止される。
ただ、具体的な変更内容は、特急が準特急の停車駅と同じになるというもの。実質的には「特急」が消滅し、「準特急」に統一されたと考えてよい。新宿~八王子間の速達性よりも中間駅利用者をより重視したといえるだろう。
京王に限らず、私鉄特急の停車駅増加は全国的な傾向だ。コロナ禍による社会の変化による効率的な輸送を考えると、優等列車の停車駅増加は続くのではないだろうか。