寝転ぶ縞柄の猫にとびかかる茶白の猫――。ダイナミックな猫のじゃれあいを写した猫カフェの看板広告にSNS上で大きな注目が集まっている。
多くの猫カフェでは、かわいらしさを前面に出した広告を出しているが、池袋の「猫の居る休憩所299」では、「戦闘モードな一瞬を切り取った写真」を掲示していると話題になった。
猫たちはなぜ「戦闘モード」になっていたのか。そしてなぜこの写真を看板に選んだのか。J-CASTニュースは2021年12月16日、オーナーに取材した。
「戦闘モード」の撮影背景
看板の写真が撮影されたのは12年前。まだ2匹の猫が若かった時のことだとして、オーナーはこう説明する。
とびかかっている茶白の猫は、オスのスコティッシュフォールドのスイッチ。生後数か月ごろに、猫カフェのあるビルの隙間で保護された。オーナーによると、「誰にでも絡む変態おっさん猫で、男子猫には好かれ、女子猫たちには嫌われている」という。
床に這いながら応戦している縞猫の名前は、ぽっけ。こちらも生後数か月で捨てられていたところを保護された。甘えん坊のいたずらっこで、当時はよくスイッチに突撃していた。
撮影されたじゃれあいも、ぽっけのちょっかいから始まった。くつろいでいたスイッチに、ぽっけが床上をすべるように突撃。平穏を邪魔されたスイッチがとびかかるように応戦したところで、シャッターが切られた。
スイッチは現在、推定14歳のおじいちゃんで、高齢のスコティッシュフォールド特有の関節疾患に悩まされており、写真のようなポーズをとることはできない。ぽっけも推定12歳のおじいちゃんで、体は丈夫だが、"猫ミサイル"を繰り出すことはもうない。
「猫カフェの看板は、もっと自由でいいことが証明された」
ぽっけとスイッチのじゃれあいを掲載した看板は、猫カフェのあるビルの入り口に掲示されており、多くのツイッターユーザーの関心を集めた。
12月13日、「猫カフェ的な店の看板、大抵は猫がきゅるんとかわいらしくしてる写真を使ってると思うんだけど、この店は戦闘モードな一瞬を切り取った写真だった」とツイッターで投稿されると、「この猫カフェはわかってる」「行きたい」といった声が寄せられた。投稿は16日17時現在までに、1万3000「いいね」を超える反響が広がっている。
看板はオーナー自身が制作した。ツイッターでの指摘通り、どの猫カフェも猫がかわいらしくしている写真ばかりだが、猫の魅力はかわいいだけではないと思い、この写真を選んだという。
SNS上の反響に対しては、「猫カフェの看板は、もっと自由でいいことが証明されたという事で、感謝しております」とコメントした。また閉店が決まっていなければ、もっと個性的な看板も掲出したかったと明かす。
猫の居る休憩所299は、22年3月に閉店する。原因の一つは、オーナーのペットロス。創業時からいた猫たちが亡くなったことを受け、新しい猫を迎え入れることが辛くなってしまったという。コロナ禍で経営面も厳しくなった。
ツイッター上で閉店を告知すると、客足は増えて単月で黒字に転じたが、これ以上続けることはできないという。閉店後の猫たちは、オーナーが面倒を見る予定だ。オーナーはツイッター上で、こう呼びかけている。
「猫カフェの猫は、お客さんが来るととても喜びます。それは去年の緊急事態宣言で休業している時、特に実感しました。閉店後は、ずっとその休業期間と同じ状態になります。それまでの間、周りにたくさんのニンゲンがいる、可愛がってもらえるという時間を満喫させてあげてください」