2022年2月に開催される予定の北京五輪に外交使節団を派遣しない「外交的ボイコット」をめぐり、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は2021年12月13日に訪問先のオーストラリアで行った記者会見で「検討していない」と発言した。
文氏は21年9月の国連総会で、休戦状態が続く朝鮮戦争(1950~53年)について、南北朝鮮と米国の3か国か、それに中国を加えた4か国での終戦宣言を提案したという経緯がある。22年5月の任期満了を控えた文氏としては、18年の平昌(ピョンチャン)五輪同様、五輪を機に南北対話を推進したい考えで、そのためには中国の後押しが不可欠。中国を刺激することを避けた可能性もある。
「米国を含む他国から、外交的ボイコットに加わる要請を受けたことはない」
文氏の発言は、モリソン首相との共同会見の場で出た。記者は、オーストラリアがすでに外交的ボイコットを表明したことを指摘した上で、韓国が外交的ボイコットに関する公式見解を示すタイミングについて文氏に質問した。それに対して文氏は、
「米国を含む他国から、外交的ボイコットに加わる要請を受けたことはない。ボイコットの措置は検討していない」
と応じた。
オーストラリアと中国の関係が悪化する中で、韓国が中国とどう向き合うかも関心事だ。質問には
「韓国にとって、朝鮮半島の平和プロセス、特に朝鮮戦争の終戦宣言に関しては、中国は重要なパートナーだ。多くのメディアが、今日の首脳会談では中国が議題になるとみている」
というものもあった。
文氏は、オーストラリアが朝鮮半島の平和プロセスを支持してきたことに対する感謝を述べた上で、終戦宣言については次のように述べ、北朝鮮も終戦宣言には前向きだとの見方を示した。
「オーストラリアは、韓国政府と関係国が提案した終戦宣言を支持している。(関係国とは)米国、中国、韓国、北朝鮮の4か国だ。そして、原則として、誰もがこの宣言に同意していると信じている」