ツイートまとめサービスTogetter(トゥギャッター)を運営しているスタッフがTwitterで注目された話題を厳選し、考察するコラムの第30回です。今回は「若者のITマナーの話がなぜ盛り上がるのか」を掘り下げます。
Togetter社が解説する「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド」<出張版>
先日、大学講師のツイッターユーザーが投稿した「ここ2年ほどでマナーをしっかり守ったメールを送ってくる学生が急に増えた」とのツイートが大きく拡散しました。
学生が送ってくるメールについては、以前は「件名がない」「必要な情報が書かれていない」など問題視する声が多く出ていたそう。投稿者は、若者にとってメールが縁遠いツールになった結果、「メールの送り方」をネットで検索してから送る学生が増えたのでは?と予想しています。
<「ご多忙の折、たいへん恐縮ですが」最近の学生のメール文章がやたら丁寧なのはメールの送り方をネットで調べているから? - Togetter>
スマホネイティブ世代のPC離れ?
幼いころから、スマートフォンやタブレットに親しんでいた若者たちは「スマホネイティブ」とも呼ばれ、PCを中心に使っていた上の世代とはITに対する考えや意識が異なる、とされます。
ツイッターでは2014年の時点で「3年後の新入社員はメールを使えない場合がある」との予想が出ており、2017年には卒論もスマホで書くという「PCスキルに自信がない大学生」も話題になりました。
<3年後の新入社員はメールを使えない場合がある - Togetter>
<大学生の7割「PCスキル自信なし」マウス操作も分からないという話に「さすがにネタだろ」の声上がる一方「あり得る」という声も - Togetter>
若者のメール離れが進行した結果、「送り方がわからないので調べる」となり、検索で見つけたビジネスマナーを踏まえたメールを送るようになったとしたら、予想外の変化ですね。また、コロナ禍によるオンライン授業の普及でメールで連絡をする機会が増えたため、マナーが向上したのではないのか、という見方をするユーザーもいました。
若者にギャップを感じる社会人
若者のITマナーにギャップを感じる点として、以前に「URLではなくスクリーンショットを添付する」ことが注目されたこともありました。
これは若者がウェブブラウザではなくアプリを中心に使うことが多いためURLをあまり意識していなかったり、スマホによってスクショがより一般的になったりしたことが原因と考えられます。
<スマホネイティブ世代がURLをコピペしないでスクショする理由「見てほしい部分が分かりやすい」「ギガ不足の友だちに配慮」 - Togetter>
そして、スマホ中心でPCが必要だと考えない若者に対し、その経験から「消費者のままならスマホだけでよいが、生産者になりたければPCが必須」との持論を伝えた社会人のツイートが大きく拡散したこともありました。
<若者に「消費者のままならスマホでいいけど生産者になりたければパソコンが必要」と伝えたい話 - Togetter>
ビジネスマナーの話は盛り上がりがち
もともと、ITに限らずTwitterではマナーの話題が盛り上がりやすい傾向にあります。若者のマナーで言うと、「会社の固定電話が怖くてとれない」新入社員がいるというツイートが盛り上がったこともありました。
これもやはり携帯電話やスマホが中心で、固定電話を使うことに慣れていないというギャップに原因がありそうです。
><「電話は無視してしまう」!?新入社員世代の固定電話恐怖症が再び話題に - Togetter>
しかし、本当は気にしなくていい過剰なマナーや由来のはっきりしないマナーも多く、「基本的な礼儀で十分」と注意をうながす声も上がっています。それまでなかったマナーを広める「マナー講師」もTwitterでは嫌われがちですね。
<やたらビジネスマナーにうるさい風潮ですが、本来大事なマナーは嘘つかない、隠さない、すぐ知らせる、謝る、礼を言う、日頃の挨拶といった話なのでは...? - Togetter>
<不安を煽って適当なことを書いたマナー本、元が嘘でも広まると本当のルールになってしまう「企業側も信じてしまうところに猛毒性ある」 - Togetter>
このように若者のITマナーが話題になる理由として、次の3つが挙げられます。
・スマホ中心の若者に見られる特徴や変化が新たな発見としてシェアされやすい
・違う世代から見た若者のITマナーについての感想が共感されやすい
・TwitterではITを含めマナーの話はいい意味でも悪い意味でも盛り上がりがち
スマホやSNSを駆使する学生だからこそ、「自分たちはこんな風に思われている」と知り、以前よりもビジネスマナーを意識するようになったのかもしれませんね。以上、Togetterがお送りする「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド出張版」でした。次回もお楽しみに。