広告会社大手「博報堂」が運営したイベント「Z寄席」に対し、若い世代の落語家のグループ「Z落語」が、名前が似ているうえ過去にインタビューで答えた内容に似た部分があるとして、強い不信感を覚えたとコンテンツ配信サイト「note」で訴えている。
その内容を見比べると、一部に似たような表現はあった。博報堂の広報室では、「Z世代、落語は一般的なテーマと認識していた」「企画段階では、インタビュー内容は把握していなかった」などと取材に説明している。
「強い不信感を覚えました」
博報堂が設立した研究機関「UNIVERSITY of CREATIVITY(UoC)」では、4日間にわたるフォーラムを開き、2021年12月5日には、そのイベントの1つが行われた。
「Z寄席!超デジタル時代の落語実験室~『考えるな、感じろ。感じるな、笑おう。』」。こんなタイトルで、落語家と博報堂生活総合研究所の研究員がセッションを行い、大学生らも参加して、ユーチューブでライブ配信が行われた。
事前にイベントの告知が行われたが、Z落語の公式ツイッターは3日、問い合わせを受けたとして「『Z寄席』はZ落語と何の関係もありませんし、事前に連絡などは頂いておりません」などと説明した。
Z落語とは、落語家の桂枝之進さん(20)を中心にZ世代と呼ばれる若者らで結成されたグループだ。落語の寄席とクラブカルチャーをミックスさせたイベントYOSEや、5Gを利用したライブ配信の落語会などを行っている。
Z寄席のイベントが行われた後、Z落語は6日、このイベントについての見解をnoteの公式ページに載せた。
そこでは、名前がZ落語に酷似しているほか、桂さんがインタビューに答えた11月17日付のネットニュース記事の内容と似た部分があるとして、「強い不信感を覚えました」と訴えた。このニュースでは、桂さんは、フィルムカメラ「写ルンです」が懐かしいものとして若者らに「エモい」と呼ばれているように、落語も幼いころに「笑点」などで見ていたことから「エモい」を共有できる感覚ではないかなどと語っていた。一方、Z寄席でも、「写ルンです」がエモい写真が撮れると若者らに人気があることを話し合ってから、落語の話に入っていた。
博報堂広報「Z世代、落語は一般的なテーマと認識していた」
Z落語のnote投稿では、12月3日のツイート後に博報堂側から経緯説明や確認の連絡はなかったとして、「この件につきまして、現在知財関係の専門家に相談を行い、今後の対応を協議しております」と書いた。
今回のことについて、博報堂の広報室は7日、J-CASTニュースの取材にメールで回答し、事前に連絡しなかったことについて、「UoCの活動は興行的なものでもございませんし、Z世代、落語、というテーマ自体、広く一般的なテーマと認識しておりましたため、事前にご連絡等はしておりませんでした」と説明した。また、「Z寄席の企画段階では、ご指摘のインタビュー内容は把握しておりませんでした」とした。
10月上旬から具体的な企画内容の検討を始め、まず「日本の伝統文化・伝統芸能の未来について考えるセッション」を念頭に置き、伝統文化・芸能の代表として「落語」を採用することを決定したという。さらに詳細な企画立案、議論を重ねつつ、企画の骨子として、研究員が2020年1月に行ったUoCへの寄稿を元にした「演者と聴衆が一体となって落語で実験を行ってみる」などを設定したとしている。
Z落語側とはどんなやり取りをしているかについては、こう述べた。
「現段階では、Z落語の方から、直接のご連絡はございません。ただ、noteでの発信やSNSでのご発言は認識しておりますので、Z落語の方にイベントを実施したUoCの責任者よりご連絡させていただきました。今後直接お話させていただく機会をお願いしている、という状況です。Z落語の方にはご迷惑とご心配をおかけしたかと思いますので、まずは、直接お話させていただきたいと思っております」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)