ステーキ食べ放題の開催を知らせる垂れ幕にSNS上で大きな注目が集まっている。垂れ幕によれば、ホテル・ヘリテイジ飯能sta.(埼玉県飯能市)はステーキ食べ放題を「好評につき仕方なく再開」したのだという。
J-CASTニュースは2021年12月6日、ホテルの社長兼総支配人である坂本淳二さんに「仕方なく再開」した経緯を取材した。
コロナ禍で遠のいた客にインパクトを
ステーキ食べ放題は、飯能市を一望できるホテルのレストラン「天空レストラン」で開催している。 牛サーロインステーキ250グラムとチキンソテー250グラムを相乗りにした鉄板プレートや、サラダ、日替わりスープ、カレー、ライス、日替わりデザート、ドリンクを好きなだけ飲食できる。大人(中学生以上)は1人3980円。
最初は、2021年のゴールデンウィークに期間限定で実施した。坂本さんによれば当時、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、バイキングから客足が遠のいていたという。その状況を打開するために、感染症対策を実施した上で、客に興味を持ってもらえる「インパクトのある料理」を提供しようと考えたそうだ。
食べ放題は好評で、多くの人が訪れ、喜んでいたという。これを受け5月7日、食べ放題の開催延長を発表。5月中旬には、西武鉄道の飯能駅前にこんな垂れ幕を掲示した。
「ステーキ食べ放題 好評につき仕方なく再開しました」
現在は毎週土日開催の人気コースとなっている。
やっぱり赤字だったステーキ食べ放題
それでは、どんなことが「仕方ない」のだろうか。坂本さんは、ステーキ食べ放題の開催は赤字なのだと明かす。
「原価と売値で商売として見合っておりません。しかし多くの方に喜んでいただけているので、ホテルとしても『仕方なく』やりますよと、面白おかしく再開をお伝えしました。
コロナ禍で多くの方が外出しにくくなっていますが、『こんなこと言ってるところだから1回くらい行ってみようかな』と出かけるきっかけになればと思います」
「仕方なく再開」という文言は、ヘリテイジ・グループ代表の杉田憲康オーナーの呟きから生まれたのだという。坂本さんはそんな杉田オーナーを「型にはまらず驚かされることをいうリーダー」だと評した。
このような赤裸々な背景がにじむ文言は、ツイッター上で大きな注目を集めている。2021年12月4日、「仕方なく再開」の垂れ幕を紹介すツイートが投稿されると、「正直で好感持てます」「潔い」「仕方ないから行くか」といった声があがった。発端の投稿は12月7日13時現在までに、1.5万リツイート、7万「いいね」を超える反響が広がっている。
坂本さんは、ツイッター上で話題になっていることを知らなかったそうで、反響を伝えると「すごいですね」と感嘆を漏らす。
「率直に非常に驚いております。ホームページやフェイスブックで宣伝はしておりましたが、ツイートしてもらえるようなことは今までなかなかありませんでした。
ちょっとした文言で話題になるということは、慎重に取り組まなければいけないなと感じますが、これだけリツイートされることはすごいことだと感じます」
「賑わい無くしてホテル業はなりたたない」
現在のステーキ食べ放題は来年春ごろまで開催予定。坂本さんは赤字でも開催を続ける意義をこう語る。
「我々はホテル業なので、一レストランを経営しているわけではありません。そこは赤字でも皆さんが来てくださることが大切です。我々はこれを『賑わい業』と称しています。
一人でも二人でも多く来て下さり、全体の中で回収できれば経営として成り立ちます。賑わい無くしてホテル業はなりたたないのです」
3月ごろにはメニューのリニューアルも検討している。坂本さんは「面白い企画やイベントを手掛けております。お客様のおっしゃることは何でも受けていくので、気兼ねなく何なりとお申し付けください。そして、飯能市に訪れたら是非ホテルを利用してもらえますと幸いです」と呼びかけた。
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)
仕方なく再開 pic.twitter.com/hE1B7KKmIG
— 鷲谷憲樹 (@nwashy) December 4, 2021