野菜農家が旬の食材である「大根」の売れ残りを軽減するため、パッケージにある工夫を施した。この企業努力がネット上で「かわいくて買いたくなる」などと反響を呼んでいる。
「かわいくて買いたくなりますね」
注目を集めているのは、農産物の生産販売などを行う「しゅん・あぐり」(埼玉県八潮市)による2021年12月4日のツイートだ。卓上に並ぶ小包装された大根の写真を投稿している。
写真をよく見ると、ひとつひとつ透明なパッケージに笑みを浮かべた口や目などが描かれており、まるで大根のキャラクターらが身を寄せているかのように映っている。また投稿文では、
「遊んでないです...一本でも多く売れてほしくて(涙) #企業努力」
と、切実な思いを伝えた。投稿は3万1000件以上のリツイートや17万3000件超の「いいね」を集めるなど反響を呼び、ツイッターでは、
「ナイス!アイデア!」
「可愛いですね。大根に表情がある」
「かわいくて買いたくなりますね」
などと同社の取り組みを評価する声が上がっている。
売れ残りを軽減するための「苦肉の策」
ネットの反響を受けて6日、同社のツイッター担当は J-CASTニュースの取材に対して「反響が大きくとてもびっくりしています。自分の事ではないような不思議なきもちです(笑)」と驚きを表した。
写真に写っていたのは、千葉県の野田農場で作った「ミニ大根」。ヤオコー越谷蒲生店、草加原町店、八潮店や、ネットスーパー・クックパッドマートの「埼玉松伏たまこファーム」で販売している。
担当によるとミニ大根は11月末から出荷を開始したが、毎日売れ残りが多く戻ってくるような状況だったという。そのため、
「まだまだ畑にはたくさんの大根があり一本でも多く売りたいという思いから、苦肉の策ですが軽い気持ちで顔を書いてみました」
という。工夫を加えたことによって、完売には至らないものの以前よりは売れ残りが減ったとする。さらに担当は農家の苦労を、
「豊作の時は野菜がどんなに上手く作れても、売れ残り安売りしなくてはならなくなります。私自身就農してから経歴も浅いですが、農業で安定して収入を得ることの難しさを日々痛感しています」
と語る。ほかに取り組んでいる企業努力に関しては、店頭にPOPを掲示するといった販促や体験農業を行っているとし、「たくさんの人に来てもらえたら嬉しいです」と伝えていた。