ベトナムのホーチミンを拠点に活動してきたAKB48の姉妹グループ、SGO48の運営会社は2021年12月5日、ファンへのお披露目イベントから丸3年になる12月22日にグループを解散すると発表した。理由のひとつとして、コロナ禍を受けた「今後の活動の制約面についての不透明感」が想定されることを挙げている。
これまで9つ立ち上げが発表されたAKB48の海外姉妹グループのうち、明示的に解散を発表するのは今回が初めて。ただ、インドの2グループは休眠状態が続いていることに加えて、インドネシアのグループは人員の大幅削減を強いられるなど、一部では厳しい状況に直面している。
「今後の活動の制約面についての不透明感が想定される中...」
グループ名「SGO48」は、ホーチミンの旧称「サイゴン」が由来。18年8月から9月にかけて1期生を募集し、ベトナム国内や米国から応募した7627人から選ばれた合格者29人が同11月に発表された。シングル曲としては「ヘビーローテーション」「恋するフォーチュンクッキー」「RIVER」の3曲のベトナム語版を発売し、AKB48 が21年6月に開いたアジア各国・地域の姉妹グループと共演するコンサート「AKB48グループアジアフェスティバル」にもオンラインで出演していた。
だが、12月5日になって、グループのSNSで解散が発表された。理由は、コロナ禍でグループの活動が影響を受けたことを踏まえて、
「今後の活動の制約面についての不透明感が想定される中、これら諸状況に鑑み、関係者において協議・検討を重ねた結果」
だと説明。メンバーの今後については「現状では決定しておりません」とした。
米ジョンズ・ホプキンス大の集計では、ベトナムの12月6日時点での累計感染者数は130万9092人、死者は2万6260人。感染者の半数、死者の4分の3程度をホーチミンが占めている。ホーチミンでは7月上旬から9月終わりにかけて厳しいロックダウン(都市封鎖)が行われ、外出は緊急時や食料品・医薬品の調達など、必要最小限に限られた。こういった状況がグループの活動を困難にしたとみられる。
「選抜総選挙」「じゃんけん大会」開催のグループも
ベトナム以外に、コロナ禍の影響が表面化したのがインドネシアとインドだ。インドネシアの首都・ジャカルタを拠点にするJKT48は21年1月、メンバー65人中26人のリストラを発表。3月から規模を縮小して再スタートを切った。
インドでは19年6月、首都ニューデリーがあるインド北部を拠点に「DEL48」を立ち上げることを発表。19年末のNHK紅白歌合戦にはメンバーのひとりが日本に派遣され、NHK紅白歌合戦のAKB48のパフォーマンスに出演した。だが、20年10月にコロナ禍による「一時的な活動停止」を発表。「活動再開のタイミング適切な時期に発表する」としていたが、活動が再開できない状態が続いている。
DEL48と同時に、ムンバイが拠点の「MUB48」結成も発表されていた。ただ、公式サイトはトップページに「COMING SOON」と表示されているだけで、実質的な活動が行われた形跡は見当たらない。何らかの理由で立ち上げが頓挫している可能性もある。
ただ、ベトナムとインド以外の6グループは、コロナ禍でも実質的な活動を続けている。JKT48、バンコクのBNK48、チェンマイのCGM48、上海のAKB48 Team SH、台北のAKB48 Team TPは、21年に入ってからもシングル曲をリリース。そのうちJKT48以外の4グループはAKB48楽曲の現地語版ではないオリジナル楽曲を発売した。上海では、日本では今は行われていない「じゃんけん大会」を11月に開いた。マニラのMNL48では、派生ユニットによる楽曲を発売したほか、2月に「選抜総選挙」の開票イベントを開いている。JKT48とBNK48には専用劇場があり、定期的に劇場公演を開いている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)