1人での外出許可は「自転車に乗れるようになった子どもみたいなワクワク感」
リハビリでは当初から「杖を使わずに1人で歩けるようになりたい」と伝えていました。それには「1年から1年半ほどかかる」ということでした。
1日でも早く1人で歩けるようになりたくて、必死に練習しました。毎日義足を履くのはもちろん、PTの方とのリハビリは1日1~2時間なので、それ以外の時間も義足を履き、万歩計をつけ、院内をひたすら歩き回りました。徐々に、PTの方に支えられながら、駅までの往復など院外へ行けるようになっていきました。
変化があったのは12月。「杖を使えば1人で歩いていい」と外出許可をもらいました。それからは本当に楽しくて、ずっと歩いていました。
自転車に乗れるようになった子どもみたいなワクワク感でした。漕ぎたくてしょうがない。それと同じです。寝ても覚めても歩きたくてしょうがなかった。手足を3本失ってから初めて1人で外出できるようになり、「自分の力で自立をつかみ取れた」という気持ちでした。
年が明けて2013年1月ごろには、杖なしでも1人で歩けるようになりました。「1年から1年半」と言われていた中、リハビリ自体は4か月くらいで終えることができました。最終的に退院したのは、入院から半年後の3月でした。
退院から9年近く経ちました。義足で歩けるようになり、これまで水泳や陸上競技などスポーツに挑戦したことがありました。
この体でできることは、今後もどんどん増やしていきたいです。いろんな可能性をもっと探りたい。たとえば、スキューバダイビング、スキーやスノーボードはいけるか、といったことにもチャンレジしてみたいです。
手足が3本ない体で、義足を履くことで何ができるか。残った片腕で何ができるか。それを示していくのが、YouTubeをはじめとした僕の発信で大事にしていることです。
(構成:J-CASTニュース編集部 青木正典)