小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」のサンプル(破片)を採取し、地球に帰還して2021年12月6日で1年になる。
これを前に、はやぶさ2の帰還カプセルとリュウグウのサンプルの展示が12月4日から日本科学未来館(東京都江東区)で始まる。帰還カプセルとサンプルが同時に公開されるのは初めて。
窒素で満たされたサンプル入り容器を拡大レンズ越しにのぞき込む
「はやぶさ2」は宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発し、14年に地球を出発。19年に2回にわたってリュウグウにタッチダウン(着地)した。20年12月にカプセルが地球に再突入し、オーストラリアの砂漠で回収。目標の50倍以上の5.4グラムのサンプルを持ち帰った。
サンプルは「キュレーション」と呼ばれる分類・整理作業を経て、一部は6分野(化学、石の物質、砂の物質、揮発性成分、固体有機物、可溶性有機物)の分析チームに引き渡されて分析が進んでいる。チームには14か国、109大学・研究機関、269人が参加している。分析は米航空宇宙局(NASA)でも行われる。
12月3日には、報道陣向けの内覧会が開かれた。展示では、帰還カプセルを「インスツルメントモジュール」「搭載電子機器部」「パラシュート」「背面ヒートシールド」「前面ヒートシールド」の5つの部品ごとに展示。「前面ヒートシールド」は研究で使用中のためレプリカだが、残り4点は実物だ。
サンプルは、1回目と2回目のタッチダウンから1粒ずつを展示。2回分のサンプルが同時に展示されるのも初めてだ。1回目で採取されたサンプルは、長径2.2ミリメートル、重さは2ミリグラム。2回目は長径2.1ミリグラム、重さ2ミリグラムだ。それぞれ、外気に触れないように窒素で満たされた容器に封入され、外から拡大レンズ越しにのぞき込む。それ以外にも、帰還したカプセルの輸送に使ったコンテナの実物や、はやぶさ2の実物大模型も展示する。
「ぱっと見、普通に見える小石」だが...
JAXA宇宙科学研究所の藤本正樹副所長は、今回展示されるサンプルは「ぱっと見、普通に見える小石」だとしながら、地球の水や有機物の起源、生命の起源に至るような情報が「ぎっしり詰まった小石だということを、ぜひ実感していただきたい」と展示の意義を強調していた。
「特別企画『帰還一周年 「はやぶさ2」カプセル&リュウグウの"かけら" 大公開』」の会期は12月13日まで。常設展の入館料のみ(大人630円、18歳以下210円、未就学児無料)で見ることができる。土日と混雑が予想される平日は、現地で入場整理券を配る。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)