柔軟剤を洗濯以外で使用する動きが広がっている。香水やフレグランススプレーの代わりになるといい、ネット記事では「話題沸騰」「若いママたちの間で人気です」とも紹介されている。
しかし、メーカー3社は取材に「推奨しない」と答えた。
「香害」を懸念する声
主婦の友社が運営するニュースサイト「暮らしニスタ」は2021年10月中旬、「洗濯だけじゃない!『柔軟剤』の意外な活用方法」と題した記事を配信した。ヤフーやLINEニュースにも転載された。
「家事コツ研究員」を名乗る筆者が、柔軟剤の洗濯以外での活用法を指南している。柔軟剤の効果である静電気防止、消臭、香りづけに着目し、手製の「柔軟剤スプレー」が「使い勝手が万能」だと推奨した。
水100ミリリットルに柔軟剤5ミリリットルを混ぜた物で、(1)掃除(2)フレグランススプレー(3)ヘアブラシの手入れ(4)セーターに吹きかけ静電気防止――といった用途を紹介している。
記事に対してSNS上では、合成香料(化学物質)が原因で、頭痛や吐き気などの症状が出ることで知られる「香害」を心配する声が見つかる。
市民団体「香害をなくす連絡会」が2020年に行った調査(9030人回答)によれば、香りつき製品で具合が悪くなったことがあると答えた人は79%に上った。原因の1位は柔軟剤(86%)だった。
業界団体「日本石鹸洗剤工業会」が定める柔軟剤の品質表示自主基準では、用途以外に使用しない旨を表示するようしている。18年の改定では香害を念頭においてか、「周囲への配慮と、適正使用量を守る旨を表示する」点が加わった。
「複数の方からお問い合わせを...」
暮らしニスタ以外にも、柔軟剤スプレーを紹介する記事は複数見つかる。「話題沸騰」「若いママたちの間で人気です」と紹介するメディアもあった。
多くは「雑菌が繁殖しやすい」「本来の洗濯での使用に比べると柔軟剤の濃度が非常に高い」「ひどい肌荒れを起こしてしまうことも」と注意点も併記していた。
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日用品大手のライオンは12月1日、J-CASTニュースの取材に「WEBなどで、用途外使用が紹介されていることは存じ上げています」としつつ、推奨はしていないとした。
花王、P&Gも取材に、推奨はしていないと答えた。
暮らしニスタ編集部は11月29日、自社サイト内では記事を削除し、「複数の方からお問い合わせを頂きましたが、メーカーが用途として想定していない使い方をご紹介したことは不適切であった(当該使用方法に関して安全性が確認できなかった)ため削除いたしました」とサイトで説明した。