軍艦利根資料館(広島県江田島市)は、書籍が持ち出されたまま返されないことに苦慮しているとして、2021年11月25日をもって閉館した。ファンからは惜しむ声が寄せられている。
いったい何があったのか。J-CASTニュースは26日、資料館の管理を務めるボランティア・岸雅基さんに取材した。
「性善説での運用が難しくなった」
軍艦利根資料館は、重巡洋艦「利根」が着底した能美島にある。館内では利根にあったものや乗員の服、装具などを展示していた。
閉館は25日、公式ツイッターで発表した。
「館内に配架しております書籍を、持ち出されたまま返却されない方がおられ、数日経ちましても戻る形跡がありませんので、令和3年11月25日を持ちまして閉館致しました」
書籍コーナーでは、当時の様子を書き記した乗組員達の手記、利根や重巡洋艦・筑摩に関する書籍などを展示していた。取材に応じた岸さんによれば、持ち出されたのは「海軍生活放談」という本。状況から故意だとみて、詳細を確認後に盗難届の提出を検討するという。
そしてこの件を受け資料館の閉館を決定した。岸さんは「私自身の私見かつ、ボランティア活動としての意見」と前置きし、まず閉館理由についてこう述べる。
「性善説での運用が難しくなったのとボランティア活動の限界を感じております」
資料館は、岸さん含むボランティア2人で管理していた。仮に書籍が返却されても、これまでのように資料の閲覧ができる体制を維持するのは難しいという。