維新が協力求める「身を切る改革」、どう対応?
―― 10月分の文書交通費が新人議員に対して100万円支給された問題は、どう取り組みますか。「日割り」にする方向性では与野党が一致した感がありますが、それ以外に、どのような形で制度を見直していきたいですか。今朝の会見では寄付ではなく国庫返納できる制度が必要だと主張していました。
玉木: 寄付は変だと思いますね。やっぱり多額の寄付をしたら、(寄付された側が)その政党に対してシンパシーを持つようになるから、ちょっとどうかなと思いますね。だから国庫返納が筋です。もっと厳密に言えば、経費だということであれば、使った分だけ領収書で請求すればいいわけです。逆に言うと、使途が明確であれば「1日だけ働く」ということであっても、全額出してもいいと思います。
―― 仮に支給の対象になった1日で、実態がある形での活動があって領収書があれば支給は問題ない、ということですよね。
玉木: その1日でチラシを刷って手紙を有権者に出して...というのであれば、別に1日で100万円でもおかしくありません。日割りもひとつだし、今回は与野党がそのようにまとまろうとしているので、それで構いませんが、本来であれば、やっぱり使った分だけ領収書を添付して「その分だけ認めるので、使い残しがあったら返す」というのがいいと思っています。経費計上を認めてくれたらいい、と言っています。逆に言うと、働かない人はいらないし、働く人にはもっと出してもいいと思います。
―― このあたりの提案が党としてのアクションになるのは中長期的な課題ですか。
玉木: 今回我々としては3つ法改正しようとしています。一つは、すでにまとまろうとしている日割りです。(今回は新たに議員になった人への支払いが問題になったが)議員辞職した際には、辞職した月も日割りの支払いを導入すべきだと思います。次が議員辞職時を含めて国庫への返納を可能とする、ということです。そして、3つ目使途の公開。領収書を添付した上で...、これは他の政党交付金などと一緒です。
―― 先ほど指摘があったように、真面目に活動すれば印刷代はかかるものなので、単に削ればいい、というものではないですよね。維新が求めている「身を切る改革」も、何が削れるかは精査が必要そうですね。
玉木: 今、コロナで(歳費を)2割削減していますから、当面はこれを継続する。(2割削減の根拠になる改正歳費法が)10月で切れていますから、2割削減を続ける(ための法改正をする)というのは賛成です。あと、(維新が掲げる「身を切る改革」には)企業団体献金を禁止しろ、と言う項目がありますが、パーティー券を認めたら結局は企業が買ってくれるので、「パーティーはOKだけど企業献金は駄目だ」という差は、よく分からないですよね。(企業団体献金を)やめるのであればパーティーもやめる、ということですが、それで本当に政治活動が回るのか...。あんまりパフォーマンスになるようなことはやめて、政治活動の透明化に資するような形の改革はしたらいいと思いますね。私なんかは、ものすごく透明にしていますよ。例えば、ウェブサイトに連結決算ベースの収入と支出を公開していますが、各議員、こういうのを出せばいいんですよ。
―― 喫緊の課題が、燃油価格高騰に対する対応です。国民民主党は、ガソリン平均価格が3か月連続で1リットル当たり160円を超えた場合、25.1円の課税を翌月から停止する「トリガー条項」の凍結解除を訴えています。これに対して、政府は1リットル170円を超えた場合、元売り事業者に5円を上限に補助金を出すことを検討しています。この案について、記者会見で「しょぼすぎて衝撃」だと言っていました。
玉木: なんだそりゃ?という感じです。もう、びっくりですね。
―― 一方で、松野博一官房長官は「トリガー条項」凍結解除について、11月16日午前の会見で
「発動された場合、ガソリンの買い控えや、その反動による流通の混乱や、国・地方の財政への多大な影響などの問題があることから、その凍結解除は適当ではないと考えている」と答弁しています。
玉木: 値段が下がると思ったら下がるまで買い控える、ということですが、(政府の検討では)5円下げようとしてるわけです。それも買い控えが起きるので一緒ではないでしょうか。
―― 下げる額によって買い控えの度合いがどう変わる、といったことを説明しないと、分かりにくいですね。ある意味「ブーメラン」に思えます。
玉木: 何か役所から言われたのを理解せず読んでるだけな気がしますね。ブーメランになっている気がします。
―― こういった状況で、どのようにして凍結解除を訴えていきますか。
玉木: この話は、追加公約として選挙中から言っていた唯一の政党なんですよ。(政府・与党は)「遅くなるから駄目だ」と言いますが、12月に法改正すれば早ければ1月1日から下げられます。(政府が検討している)1リットル当たり5円の補助金を出したとしても、それで元売りが(小売り価格を)下げるかどうか分からないじゃないですか。しかも170円が発動基準。それに対してトリガー条項は160円。結局政府が言っている対策は、発動する気ないから発動基準が高すぎるし、かつ「しょぼい」。やる気ないんですよ全く。助ける気もない。
―― 原油価格の高騰は、首都圏で電車に乗って生活していると意識しにくい面がありますが、車が足になっている地域への影響は大きいですね。
玉木: そうです。大きく影響を与えます。我々が新たに提案しているトリガー(条項の凍結解除)はガソリンの25円10銭に加えて軽油も17円10銭下がります。相当、地方経済を助けることにつながる思うのでぜひ実現したいし、世論を喚起していきたいですね。