大阪・ミナミの道頓堀川に若い男性が飛び込んで死亡する事故があり、騒然とした現場の写真や動画がツイッター上などで次々に投稿された。
過去にも死亡事故が起きているのに、「道頓堀ダイブ」をする人は絶えない。その危険性について、大阪市に話を聞いた。
大阪のイベントに参加した知人4人と飲みに行って
川にかかる戎(えびす)橋やその周囲で大勢の人が見守る中、上半身裸の若い男性がうつぶせになった上半身裸の別の男性を必死に起こそうとしている。
この15秒ほどの動画は、2021年11月21日深夜の事故直後にツイッターに投稿された。
現場では、救急車のサイレンが鳴り響き、駆け付けた救急隊員が忙しなく動いており、緊迫した状況だ。その後、若い男性は、救急隊員と会話を交わす。
報道によると、21日22時35分ごろ、「人が2人溺れている」と119番通報があり、駆け付けた救急隊員が20代男性2人を救助して、うち1人が病院に運び込まれたが、死亡が確認された。この男性は、川に飛び込んで溺れ、もう1人の知人の男性は、この男性を助けようと川沿いの遊歩道から川に入った。助けようとした男性は、自力で岸に上がり、ケガはなかったという。
大阪府警南署の副署長は22日、J-CASTニュースの取材に対し、亡くなったのは、持っていた免許証から、札幌市内の男性(22)とみられるとした。大阪で行われたイベントに参加し、近くの席にたまたま同じ北海道の知人4人がいて、一緒にお酒を飲みに行った。その後、5人で現場に来たといい、亡くなった男性は、状況から見て自分から川に飛び込んだとみられ、事件性はないとしている。
道頓堀川では、阪神タイガースがリーグ優勝した2003年9月、飛び込んだ男性1人が遺体で発見されたことがある。また、15年1月1日未明、新年のカウントダウンで飛び込んだ男性1人が死亡している。
飛び込み対策は「現状ではめいっぱいですね」
道頓堀川に飛び込むことがどれだけ危ないかについて、大阪市の河川課は11月22日、取材にこう話した。
「水深は、平均して約3.5メートルあり、足が着きません。川は水門で閉じられていますが、多少の流れはあります。川沿いは、遊歩道になっていて、岸に泳ぎ着いても、1人では手が届かない高さにあります。そのため、橋の転落防止柵には、上から投げるための浮き輪も設置しています。また、川底は土ですが、自転車などの不法投棄もありますので、飛び込んだら当たる恐れもありますね。今の季節なら、水温が低いので、心臓麻痺を起こす可能性もあると思います」
戎橋から飛び込む人は絶えず、阪神が優勝したときには、100人以上が飛び込んだほか、ハロウィンなどのときも数十人が飛び込むことがあるという。
防止策としては、戎橋に啓発看板を設置し、警察が警備している。さらに、近くの道頓堀橋には、飛び込みする人をはやし立てないよう、黒い目隠しパネルを設置したりもしている。
もっと徹底した対策をしないのかについては、こう説明した。
「条例規制も検討していますが、現状ではめいっぱいですね。橋には、必要な機能があり、飛び込む人のために規制する根拠が乏しいからです」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)