米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手のア・リーグMVP獲得を「無理」と予想していた野球解説者の石毛宏典氏は2021年11月20日、自身のYouTubeチャンネルで「【緊急動画】先日の大谷翔平選手MVP動画のコメント、記事等を受けてお伝えしたいことがあります」と題した動画を公開した。
石毛氏は予想の背景に、アメリカ人選手に票が集まるという見立てがあったことを説明。「大谷翔平を批判したことは一度もございません」とした。
「やっぱり『アメリカ人がMVPを獲るべきだ、獲ってほしい』という...」
石毛氏は18日に「【発表前日】大谷翔平選手がMVPを獲れない理由を話します。アメリカは...」と題した動画を投稿。翌19日に大リーグのMVP発表が迫る中、大谷選手のMVP獲得は「無理でしょ」「みなさん何を期待しているのかよくわからん。絶対獲ってほしいよね、日本人で初めてっていう...。無理だと思いますよ」(編集部注:大リーグでの日本人MVPはイチローさんが01年に受賞している)などと予想していた。
大谷選手がMVPを獲れないとした理由について「ペレス(ロイヤルズ)だとかゲレーロJr.(ブルージェイズ)はもっともっと良い数字を残しているはず。冷静にみたら無理でしょ」とホームラン王争いをした打者を引き合いに出し分析。さらに、アメリカには「白人ナンバーワンというのが、まだ僕はある」と持論を示し、「大谷がMVPを獲るためには、もっともっと相当な数字をあげないと駄目」としていた。
翌日、大谷選手は満票でア・リーグMVPを受賞。石毛氏の予想は外れる形となった。
大谷選手のMVP獲得を受け、石毛氏は20日に動画を公開。18日の動画で、大谷選手のMVP獲得は「無理」と予想した意図を説明した。
石毛氏は「アメリカっていつも世界のトップにいなきゃいけないんだ、っていう。経済においても軍事においても。かたや中国が台頭してきている。国技といわれるスポーツ、そういった時代背景の中で、やっぱり『アメリカ人がMVPを獲るべきだ、獲ってほしい』という、そういった選出をする国なのかなっていう感じは持っていました」と持論を示す。
そうした根拠から「投票する記者の方が少ないんじゃなかろうか」と、大谷選手のMVP獲得が難しいと予想した理由を伝えた。
今回のア・リーグMVP争いでは日本人の大谷選手、カナダ出身のゲレーロJr.選手、アメリカ出身のセミエン選手(ブルージェイズ)が最終候補にノミネートされ、最終的には1位大谷選手、2位ゲレーロJr.選手、3位セミエン選手という順位だった。
「アメリカって『そういう国』なんだろうなって思ってましたんで...」
石毛氏は、大谷選手の「人間性」に対する評価の高さが、周囲の選手からマスコミ、アメリカ全土へと伝わったことがMVP獲得の背景にあると分析する。
「アメリカと中国が色々な覇権で争っている。競争も、倫理観がある中でしていかないといけませんよねっていう。そういった倫理観・モラル観を大谷翔平という若者が、野球を通じて示してくれている。そういったものが、全世界で『そうあるべきだよね、気づいていこうよ、気づかなきゃいけないよね。じゃあ大谷翔平MVPでいいんじゃないの』みたいな。そういった流れの、MVP獲得でもあるのかなという気がするんですね」
また、アメリカ人選手に票が集まるという当初の見方を改めて示したうえで、「アメリカって『そういう国』なんだろうなって思ってましたんで...それを打ち破って、大谷翔平がメジャーリーグのMVPという輝かしいタイトルを獲ってくれたことは、スポーツを見る人、かかわる人、これから目指す人にとっては大きな方向付け、新しいアスリートの在り方が示されたような気がするんですね」と話した。
動画の最後には「いいですよ、みなさん。色々なことを感じてくれて、色々なことを言って構わないんで。こっちもある面で色々なことを言うし。結果が全く違ったこともあるかもしれない。それは仕方がない話。でも、言ったことは事実なんで、否定するつもりは毛頭ないんですけど。でも、大谷翔平を批判したことは一度もございません」と伝えた。
なお、18日に投稿した動画のタイトルは「【発表前日】大谷翔平選手がMVPを獲れない理由を話します。アメリカは...」だったが、22日12時時点で「【発表前日】大谷翔平選手のMVP獲得する・しないに関して」に変更されている。