コロナ禍で変わる鉄道運賃 東急は値上げ、小田急は子ども50円の対称施策...他社も改定続くのか

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子どもならどこまで乗っても50円になる小田急

   東急とは対照的に、小児運賃を全線で一律50円とすると発表して話題を集めたのが小田急電鉄だ。ICカード利用時の適用で、22年春に開始する。これは同社の「こどもの笑顔は未来を変える。Odakyu パートナー宣言」の一環で、今後小田急沿線を子育てしやすい沿線とするための各施策を講じていく。既に1日限定で小田急全線を子ども運賃100円で乗り放題の「小田急 こども100円乗り放題デー」を年に数回開催しており、21年も11月27・28日、12月4・5日に開催予定で、ファミリー層をターゲットに小田急に愛着を持ってもらう企画が進んでいる。

   小田急は他社と競合するエリアが多い。東京都心と多摩ニュータウン間の輸送で京王と競合、また新宿~藤沢間でJR東日本の湘南新宿ラインと競合し、東京から箱根・伊豆エリアへの輸送でも東海道新幹線・JR東日本と競合する。東急田園都市線や相鉄線ともカバーするエリアが重なっており、沿線人口の行方も安泰とはいえない。

   前面展望が売りの特急ロマンスカーというブランドを持つ小田急はもとより鉄道ファンからの人気も高く、ファミリー層に強いアピール力を持つ。「もともと普通運賃の半額ですので、値下げのマイナスは少ないと思われます。また通学定期も値下げが実現するかもしれません」(枝久保さん)と、小児運賃の減少分は沿線への人口誘致でカバーする構えだ。首都圏南西部をエリアとする東急と小田急だが、予想外のコロナ襲来と定期券需要の減少を対照的な施策で打開しようとしているようである。

「一方、JR各社では普通運賃を一律値上げするよりはオフピーク運賃の導入を目指したい意向です。ラッシュ時間帯の運賃を上げオフタイムを下げるものですが、これが定期券となると乗車できる時間帯を価格によって分ける、といった施策が考えられます。まだ具体化はしていませんが、国交省との間でも筋道がまとまれば各社で実現していくかもしれません」(枝久保さん)

   事業者側とは別に、国交省は鉄道のバリアフリー化の整備費用を運賃に上乗せするスキームを検討しており、東名阪の三大都市圏での導入を想定している。コロナ後、鉄道運賃は大変動の時代が訪れるかもしれない。

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