コロナ禍で変わる鉄道運賃 東急は値上げ、小田急は子ども50円の対称施策...他社も改定続くのか

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   新型コロナウイルスの打撃を受けた鉄道業界では、運賃・料金の値上げの動きが具体化しつつある。今秋、東急電鉄が関東大手私鉄で初めて普通運賃の引き上げを表明した。

   他方、「子ども運賃全線50円」の実施を決めたのが小田急電鉄である。両社の意図と鉄道運賃に今後起こりうる変化は何が考えられるだろうか。

  • 大手私鉄2社で「運賃」をめぐって判断が分かれた
    大手私鉄2社で「運賃」をめぐって判断が分かれた
  • 大手私鉄2社で「運賃」をめぐって判断が分かれた

他社も追随の可能性は?

   東急は2021年11月9日の決算説明会で運賃を引き上げる意向を具体的に示した。改定率は全体で10数%。初乗り運賃は切符で130円が140円前後に値上げされる(ICカード利用の値上げ額は協議中)。国土交通省への申請を経て2023年からの改定を計画している。東急の運賃は大手私鉄の中で京王電鉄と並んで最も安い水準だったが、全線にわたって改定されれば10~30円程度の値上げが想定される。

   東急沿線では2020年度の定期運賃収入は対前年比31.5%減少、これは関東大手私鉄中最大の減少幅で、テレワークへのシフトによる影響が他社よりも大きかった。東急広報は取材に対し、運賃改定の背景などをこう話す。

「当社では東横線・田園都市線・大井町線全駅へのホームドア設置を完了し、設備維持費が増加しております。今後も安全投資を控え、コロナ後も輸送が回復しないことに鑑みながらお客様にとっての過ごしやすい沿線を提供していきます。また通学定期の運賃は据え置きとし、シニア層向けの『東急線乗り放題パス(over60)』を11月に実証実験中です。子どもや高齢者の負担が軽くなる取り組みを進めています」

   鉄道ジャーナリストの枝久保達也さんは、今後他社も追随して運賃改定する可能性があると話す。

「東急が先んじて値上げを表明する形になりましたが、関東大手私鉄は東武以外の7社で2021年4~6月期の運輸セグメントで赤字を計上しました。他社の経営状況も東急と大きな差異はなく、また鉄道の運賃改定は各社で歩調を合わせることが多いので、2023~24年頃には他社でも運賃改定が進むかもしれません」

   鉄道運賃は総括原価方式という、事業者が必要と計上した設備費・人件費等のコストと想定する適正な利潤を総計し、この総額をまかなえる運賃を算出する方式を取る。各社とも今後もホームドア設置・信号設備更新などの安全投資が続き、かつ乗客減が見込まれるとなれば、運賃上昇が考えられる。

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