ツイートまとめサービスTogetter(トゥギャッター)を運営しているスタッフがTwitterで注目された話題を厳選し、考察するコラムの第27回です。今回は「ケンタッキー」がTwitterで突然トレンド入りしたことについて掘り下げます。
Togetter社が解説する「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド」<出張版>
先日、「『ケンタッキー』と呟くことでタイムライン上に表示される広告をケンタッキーのものにしよう」というアイデアがTwitter内で拡散。たくさんの人がいっせいに「ケンタッキー」とツイートし、トレンドワードとなりました。
<Twitter、とりあえず『ケンタッキー』って呟いとけば広告がケンタッキーになるので興味ない広告を見なくて済むかもしれない「まじで広告出てきた」 - Togetter>
その背景には、Twitterユーザーの広告へのネガティブな感情が見え隠れします。
Web広告は必ずしも見たいものばかりが表示されるとは限らないうえ、見た人のコンプレックスを煽るようなものが問題視されることも。そういったユーザーの不満や葛藤が蓄積した結果、「どうせなら自分が好きなものの広告を見たい!」と考える人が増えてきたようです。
ケンタッキー側からすると意図しない突然のトレンド入りでしたが、同社の公式アカウントも流れに乗って宣伝も画像もない「ケンタッキー」というテキストだけのツイートを投稿。さらにサブウェイの公式アカウントが「サブウェイ」とツイートするなど、ほかの企業も自社ブランドの名前をツイートして楽しむ展開になりました。
Twitterユーザーを楽しませてきた歴代の企画たち
ではなぜ、広告を出すためのワードとして「ケンタッキー」が選ばれたのでしょうか。
最初にツイートしたユーザーにとってはたまたま興味の対象がケンタッキーだったのかもしれませんが、大きく広がったのはケンタッキーの遊び心たっぷりの広告が過去に何度もTwitterでバズっていたことが影響しているかもしれません。
2017年にはアメリカで売り上げの多い「母の日」になんとロマンス小説を出版。カーネル・サンダースの夢小説を公式が売り出すという斬新なプロモーションは日本でも注目されました。なお、残念ながら現在はこの小説を読むことはできなくなっているようです。
2020年にはアメリカで400個限定で「チキンフレーバーの口紅」を発売。「揚げ物を食べても落ちない口紅」はケンタッキーファン以外の心もとらえる企画ですね。
コロナ禍の2021年には、企業の顔とも言えるキャッチコピー「It's Finger Lickin' Good(指を舐めるほど美味い)」が不適切になってしまった状況を逆手に取り、レッドブルなど他社のキャッチコピーを拝借した広告を作成。おなじみのコピーもチキンにつけられるとニュアンスが変わるという、ひねりの効いた広告を打ち出しました。
<【なぜ?】ケンタッキーがラブロマンス小説を出版、それにはこんなワケがあった - Togetter>
<KFCプレゼンツのケンタッキー味の口紅が気になりすぎる「揚げ物食べても落ちない」「原料がちゃんとチキン」 - Togetter>
<コロナ禍によりスローガンが使えなくなったケンタッキー社が他社のキャッチコピーを借りる企画が面白い「翼を授ける→手羽をあげる」 - Togetter>
こういった過去のおもしろい広告を含むケンタッキーのイメージから、「ケンタッキーの広告なら見たい!」と思う人が多かったのではないでしょうか。
Twitterユーザーもケンタッキーが大好き
Twitterでは企業側が仕掛ける企画だけでなく、ケンタッキーを愛するファンの投稿も何度も注目されてきました。
Twitterユーザーのなかには、ケンタッキーのオリジナルチキンの完全再現に挑戦した人も存在。スパイスの配合や揚げ方を研究し、3年かけて限りなく本物に近いチキンを作れるようになったそうです。
ほかにはケンタッキーのチキンを使って「炊き込みご飯」を作るユーザーも。チキンをお米と一緒に炊き込むと、ごはんがうま味やスパイスをまとっていっそう「ケンタッキーを食べている感じ」が増すんだとか。
また、ケンタッキーの公式アプリには食べれば食べるほど「チキンマイル」が貯まるランキングがあり、上位ランカーになると年間300本ものチキンを食べているとか...。まるでソーシャルゲームのようなこのランキング制度もTwitterとの相性がよさそうです。
<3年間ケンタッキーの再現をしつづけていた人、ついに本物と限りなく近い領域に到達したもよう(レシピ動画有)「消されそう」「もはや狂気」 - Togetter>
<フライドチキンをまるごと入れて作る"KFC炊き込みご飯"が悪魔的で美味しそう...「あの麻薬的旨味&スパイスがそのまま食べるより増強される」 - Togetter>
<お前もケンタッキー上位ランカーにならないか - Togetter>
今回「ケンタッキー」がトレンド入りした理由は次の3つが挙げられます。
・Web広告の発達に伴い、パーソナライズされた広告を求めるユーザーが増えた
・ケンタッキーは魅力的な広告を多く出しており、ユーザーからの好感度が高かった
・ケンタッキーを愛するファンによる投稿も多く、Twitterで愛されている
気になった人は、Twitterで「ケンタッキー」とつぶやいて広告が表示されるか試してみてはいかがでしょうか?以上、Togetterがお送りする「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド出張版」でした。次回もお楽しみに。