小田急電鉄が2022年春から、小児IC運賃を全区間一律50円にする。2021年11月8日に発表した。同社によれば、小児運賃を大人運賃の一律・半額以下にする試みは全国初となる。
小田急に限らず、私鉄各社はあの手、この手で子育て世帯を応援している。
運賃値下げ以外にも手厚いサポート~小田急~
小田急では小児IC運賃を小田急線内一律50円とする。利用しやすい運賃体系にすることで、将来を担う小学生の外出をより身近にすることを目的としている。
子どもの外出が頻繁になれば、自ずと保護者である大人の利用も多くなる。小児運賃の値下げ分は大人の利用増により、十分にカバーできるという読みなのだろう。
また「小児値下げ」のニュースは子育て世代を中心に大きなインパクトを与え、「小田急沿線に住みたい」という需要を喚起する効果もあるだろう。小児運賃の値下げがどこまでプラスの波及効果をもたらすのか、2022年以降の動向が楽しみだ。
また小田急では小児運賃の値下げ以外にも、21年5月には「子育て応援トレイン」を期間限定で運行。中吊り広告などを通じて、運行中に「泣き出してしまったお子さまを温かく見守っていただく」ことを呼びかけるものだった。
そのほか、全施設が駅徒歩3分以内に立地する学童保育「小田急こどもみらいクラブ」や先輩ママが講師を務めるオンラインコミュニティ「ママカレ」を運営。ハード面・ソフト面の双方で積極的に子育て世代を応援する姿勢だ。
あの手、この手で子育て世帯を応援する鉄道各社
小田急だけでなく、他社もあの手、この手で子育て世帯を応援している。
たとえば近鉄は、子ども向けのプログラミング教室「ロボ団」を運営する「夢見る株式会社」(大阪市)と協力関係にある。近鉄の駅近くに「ロボ団」を設置するだけでなく、同社の教育プログラムに鉄道システムを盛り込む取り組みを行っている。
沿線に住む子どもたちがプログラミングを通じて近鉄電車を好きになってもらうことはもちろん、近鉄沿線を子育て世帯に選ばれる高レベルな文教地区に育てるという意図もある。
また阪神では「HANSHIN女性応援プロジェクト」を立ち上げている。その一環として沿線にある武庫川女子大学と協力し、学生が公園や子育て支援施設などを紹介する情報誌を制作している。
阪急阪神ホールディングスグループでも小学生向けの体験学習プログラム「阪急阪神ゆめ・まちチャレンジ隊」を実施している。筆者はかつて阪神の駅や車庫で行われたプログラムを取材したが、なかなか本格的であり驚いた記憶がある。
(フリーライター 新田浩之)