「縦型」洗濯機と置き台のすき間に幼児が手を入れ大ケガ 8年前に製造の機種、日本小児科学会が報告

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   8年前に製造された「縦型」の洗濯機と置き台のすき間に男児(2)が手を入れ、指を切断する事故があったとして、日本小児科学会が公式サイトなどで注意喚起している。

   日本電機工業会によれば、当時の洗濯機はモーターが下部にあるものが多く、最近はかさ上げするタイプの置き台が出てきたため、事故につながったのではないかとしている。

  • 洗濯中に子供が大ケガしていた(写真はイメージ)
    洗濯中に子供が大ケガしていた(写真はイメージ)
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凹の形になったかさ上げタイプの置き台が設置された

   この事故は、小児科学会の学会雑誌2021年11月号で報告され、11月17日には、「自動洗濯機の底に手を入れ底部回転部で受傷した手指外傷」のタイトルで学会公式サイトの傷害速報でも紹介された。

   それによると、この洗濯機は、13年の製造で、男児の家の洗面所では、凹の形になった置き台の上に置かれ、男児は2020年7月、その隙間に手を入れた。ガガガと壊れたような音が聞こえ、父親が駆け付けると、男児が泣き叫んでおり、薬指が切れて血が出ていた。男児は、救急車で病院に運ばれ、薬指は緊急手術で接合が試みられたが、左環指末節骨開放骨折,左環指不全切断の大ケガを負った。男児が手を入れたときに、運転中の洗濯機の底部にある回転部に当たったとみられている。

   洗濯機の脚の高さは床から1センチほどで、平らな床面に置かれれば、男児でもすき間に手を入れられないという。しかし、配管を洗濯機の下に通すため、かさ上げタイプの置き台が設置され、洗濯機の下に7センチほどのすき間ができていた。

   この事故について、同学会のこどもの生活環境改善委員会では、速報のコメントで、底部にある回転部が露出した縦型洗濯機も多いとして、「四隅の脚をかさ上げする等,洗濯機を床面から浮かした設置の仕方をすると,すき間に子どもの手が入り回転部に触れてしまう危険がある」と注意を促した。

   ただ、「現在発売されている製品の本体や,その取扱説明書には,『けがや感電の危険があるため,運転中は本体の下に手足を入れてはいけない』『置き台などを使用すると床面とのすき間が大きくなるため注意』という記載がされているものもある」ともした。

「モーターは、8年前だと底部にあるものが多かった」

   小児科学会では、こうした事故をなくすための予防策として、まず「洗濯機の底部に手を入れても回転部に触れないような構造に変える」ことを挙げた。

   家庭でもできることとしては、「洗濯機の底部に手を入れないようにすき間を覆う」「洗濯機の使用中は,洗濯機を触らないように柵を設ける,部屋に鍵をかける」「安全に置き台を設置できるよう販売店担当者に相談の上で置き台を設置する」ことを呼びかけている。

   家電メーカーなどでつくる日本電機工業会は11月18日、J-CASTニュースの取材に対し、家電部の担当者が縦型洗濯機についてこう説明した。

「脱水中の振動を吸収するために、一体化した洗濯槽とモーターがバネで吊るされています。底面をフタで完全にふさぐと、輸送中の揺れで部品が動いてフタに当たってしまい、故障の原因にもなりますので、底部が開いているものが多いですね。モーターは現在、中心ぐらいにあるものが多いですが、8年前ぐらいですと、底部にあるものが多く、冷却ファンが付いていて、手を入れると切れるタイプもあったと思います」

   小児科学会の傷害速報では、ある縦型洗濯機の底部の写真も載っており、右側に見えるのがモーターだという。

「電気用品安全法では、洗濯機を平らな床に置いたときのすき間が1センチとなっており、置いただけでは手は入らない構造になっています。ただ、最近は、防水パンと呼ばれる置き台について、排水口の点検などができるように、かさ上げタイプを販売するメーカーが出てきました。そこで、業界としては、洗濯機の底部に手足を入れないように絵表示で示す注意ラベルを貼るようになってきています。今後は、防水パンのメーカーにも、かさ上げタイプには柵などを付けるようお願いしないといけないと思っています」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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