金正恩氏「1か月ぶり」動静報道 再開発事業を視察、完成1年以上遅れるも「意図した通りに」

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   北朝鮮の国営メディアは2021年11月16日、金正恩総書記が北東部の三池淵(サムジヨン)市を現地指導したと報じた。正恩氏の動静が写真付きで報じられるのは、10月11日の国防発展展覧会での演説を翌10月12日に報じて以来、約1か月ぶり。

   北朝鮮では18年頃から三池淵の再開発を本格化させており、正恩氏も繰り返し現地を視察。今回の視察を報じる記事では、再開発事業が21年中に完了する見通しを報じている。ただ、19年の報道では、正恩氏は「党創立75周年まで」の完成を求めていた。朝鮮労働党の創建75周年は20年10月で、工事は1年以上遅れていることになる。過去の動静報道では、工事の不具合などで正恩氏が幹部を叱責することもあったが、今回の報道では、遅れに関する言及はなく、逆に「三池淵市建設事業は党が構想し、意図した通りに立派に行われた」と称賛。完成の時期が遅れたとしても、完成すること自体の意義を重く見ている可能性もある。

  • 三池淵(サムジヨン)市を現地指導する金正恩総書記。北朝鮮では白頭山がある三池淵を「革命の聖地」と位置づけている(写真は労働新聞から)
    三池淵(サムジヨン)市を現地指導する金正恩総書記。北朝鮮では白頭山がある三池淵を「革命の聖地」と位置づけている(写真は労働新聞から)
  • 三池淵(サムジヨン)市を現地指導する金正恩総書記。北朝鮮では白頭山がある三池淵を「革命の聖地」と位置づけている(写真は労働新聞から)

「太陽の聖地である三池淵市」の再開発事業は「当然な道義であり革命的義務」

 

   再開発は3段階にわたって進められ、正恩氏は19年12月に行われた第2段階の竣工式に出席。これが国営メディアで確認できる限りでは最後の現地視察で、1年11か月ぶりの視察だ。

   三池淵には北朝鮮が「革命の聖地」と位置づける白頭山があり、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領も18年に訪問した。北朝鮮では、白頭山を抗日ゲリラの拠点が設けられた「革命の聖地」と位置付けており、金日成主席の直系血族を「白頭山血統」と呼ぶ。今回の視察を伝える記事によると、正恩氏は再開発の意義を次のように説明。「白頭山血統」を強く意識していることがうかがえる。

「革命の生家が位置している太陽の聖地である三池淵市を革命伝統教育の威力ある拠点に、文化的な山間都市の典型に立派に建設するのは金日成主席と金正日総書記の戦士、教え子であるわが人民と新世代の当然な道義であり、革命的義務である」

完成が1年以上遅れても「党が構想し、意図した通りに立派に行われた」

   過去の視察では、正恩氏は

「党創立75周年まで三池淵郡の建設を締めくくって」(19年4月)
「党創立75周年まで三池淵郡の建設を必ず完工」(19年10月)

といった具合に、20年10月までの工事完了を求める発言を繰り返してきた。だが、今回の現地視察では、父親の金正日総書記の名前を出しながら、「立派に行われた」と総括した。

「金正恩総書記は、三池淵市建設事業が党が構想し、意図した通りに立派に行われたと述べ、金正日総書記の故郷の地、白頭山がそびえているなじんだところで文化的かつ立派な文化生活を享受するようになる全ての三池淵市人民の幸福と福利を温かく願った」

   今回の報道では、工事の遅れに関する言及はなかった。食糧難やコロナ禍による事実上の鎖国が影響したとみられ、遅れはやむを得ないと判断した可能性もある。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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