マスクが苦手なこどもに「無理強い」せず
94年から放送が続いている「ストレッチマン」シリーズ。18年から放送中の5作目「ストレッチマン・ゴールド」は、何かしらの「スキル」を苦手とする特別支援学校・学級の児童に、スキルを教えることを目的としている。
番組に登場する怪人は、いずれも「特定のスキルが苦手」という特徴を持つ。これまで「歯ブラシの使い方を知らない怪人」「なんでも落書きをしてしまう怪人」など様々な怪人が登場してきたが、「マスクの着用を拒否する怪人」が登場したのは初だ。ネット上では「時代を感じる...」と話題を呼んだ。
「『ストレッチマン・ゴールド』は、特別支援学校の教師や特別支援教育の専門家と連携を取りながら放送内容を決めています。2021年度は『マスクをつける』スキルを取り上げてほしいという声が、特別支援教育の現場から上がっていたことから、検討を始めました。制作担当者が複数の専門家と協議を行った結果、マスクをつけることが社会で日常的に求められることが多くなったことや、マスク着用による感染リスクの軽減などを総合的に考慮し、ストレッチマン・ゴールドで紹介することを決めました。(それに伴い)マスクが苦手で取ってしまう、という怪人を登場させました」
NHK広報局の担当者は11月5日、J-CASTニュースの取材に対し、放送の経緯を説明した。今回の放送テーマは「マスクをつけよう」。触覚過敏を理由にマスクの着用を拒む子供たちに、マスクをつけてもらうことを目的としていた。
番組前半では「口のまわりがチクチクして、息苦しい」とマスクの着用を嫌うゴールドが、タオルやスポンジ、不織布など異なる感触のものを顔に押し当てて「触り心地」を確認。「これならマスクに挑戦できるかもしれない!」と喜ぶ場面があった。これには「ふわふわ」「ごわごわ」など、素材の違いを「言語化」することで、触覚過敏の軽減につなげる目的がある。
また、マスクを嫌がるマスクトルモンに対し、ゴールドがマスクのサイズが合っていないことを指摘するシーン。これは、サイズの合わないマスクでは皮膚への密着度が高まり、触覚過敏が出やすくなることから、サイズの重要性を指摘した、というものだった。
「お子さんに無理強いすることなく、少しずつ(マスクを)受け入れられる感覚を広げていく方法について、ストーリーを通じて伝えることを目指しました」(NHK広報局)