動画共有サイトのYouTubeは2021年11月10日(米現地時間)、動画の低評価の数値を非表示にすると発表した。
同社によれば、投稿者への嫌がらせを減らすのが目的。試験導入では、一定の効果があったとしている。
視聴者は仕様の変更後も、低評価ボタンを押すことで動画のレコメンドの調整が可能であるほか、投稿者は管理画面「YouTube Studio」で低評価数を確認できる。数値は非表示となるものの、ボタン自体は存続する。10日から順次適用していく。
ユーザー、投稿者、広告主の3者の落としどころとしての仕様変更
YouTubeでは以前から、動画の低評価の数を意図的に増加させる「低評価攻撃」を問題視していたという。
今回の取り組みをめぐっては、SNS上で評価する声がある一方、実効性の面から低評価ボタンの廃止を望む声もある。ITジャーナリストの井上トシユキ氏はJ-CASTニュースの取材に、存続させた意図について、
「まず、動画を閲覧するユーザーに対して、動画の良し悪しを表現する権利を保障するという意味合いはあると思います。その一方で、動画の投稿者には、嫌がらせ行為も含めて『実数』としての値は伝える必要があると判断したのではないでしょうか。さらには、低評価の数値が広告主への『警戒情報』になることは否定できないため、ボタン自体は存続させたのではないかと考えられます。つまり、ユーザー、投稿者、広告主の3者の落としどころとして今回の仕様変更が適切だと判断したのだと思います」
と推測する。また、「低評価攻撃」の減少につながるかについては、
「低評価攻撃を行うアンチたちは、自らがボタンを押した結果が数値に反映されて満足するという要素が大きいため、その数が見えなくなると、それだけでボタンを押す意欲は削がれます。要は、自分たちがボタンを押してもその結果が『バズらなくなる』のはアンチにとって面白くないわけです」
と、一定の効果はあると指摘した。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)