国民民主党の玉木雄一郎代表は2021年11月11日の定例会見で、22年夏に予定された参院選で改選数が2以上の選挙区全てに公認候補を擁立する方針を表明した。1人区についても擁立を進める。国民は衆院選で公示前の8議席を上回る11議席を確保し、「もっと候補者を立てるべきだった」という反省があがったことを受けた対応で、近く候補者の公募も始める。
衆院選では、立憲民主党や共産党など5党が候補者の一本化を進め、多くの小選挙区で与党との「1対1」の構図に持ち込んだことが、ある程度奏功したと考えられている。ただ、玉木氏は「そこも含めて『ありき』ではない」と話し、候補者一本化の戦術としての効果も疑問視した。参院選では、野党間で競合する選挙区が増えるのは確実だ。
「もちろん各党との調整はあるが、そこは気にせず...」
玉木氏は「もちろん各党との調整はあるが、そこは気にせず...」と前置きしながら擁立の方針を表明。他の野党との候補者調整のあり方については、自前の公認候補の擁立を優先する考えだ。
「調整ありきでやっていると擁立できないし、良い人材発掘もできない。それが今回の選挙の反省。もちろん、最終的に戦術的な調整というのは否定しないが、そういうことを考えて擁立に及び腰だったということが一つ反省点としてあるので、まずは擁立する、擁立に務めるというのが原則」
野党の候補者を一本化して「1対1」にすることの意義も、「そこも含めて『ありき』ではないということで考えていかなければいけないと思う」と述べ、疑問視した。「1対1」の構造になっても敗北した野党候補がいることや、「1対1」でなくても勝利した現職候補がいたことを理由に、
「1対1にすれば勝てるということは、すでにこの選挙結果を見れば崩れていると思う。有権者は、もっと別のものを見ているのではないか」
「もちろん1対1にすることは当選の確率を上げる、というのは理論上は考えられるが、その結果、そこに何を成し遂げたいのか、何をやりたいのかという信念と覚悟がなければ、1対1にしたからといって、それが必要十分条件として当選につながるわけではないということが、今回よく分かった」
などと述べた。
立憲・福山氏の地元、京都にも擁立するのか
国民が独自候補を擁立することで野党間の強い摩擦が起きそうなのが、立憲の福山哲郎幹事長が選出された京都選挙区(改選数2)だ。野党共闘も京都は例外で、2議席を主に自民、立憲、共産の3者で争う構図だ。22年夏に改選を迎える福山氏は11月9日の定例会見で、選挙戦の見通しについて
「京都は共産党さんが強いので必ず立ててくるし、自民党も立ててくるし、状況によっては維新さんが立ててくることもあると思っており、私は大変厳しい選挙になると考えている」
と話している。
玉木氏は京都選挙区に擁立する可能性について
「個別の選挙区についてイメージして申し上げているわけではない」
としながら、基本的な考え方を繰り返した。
「あくまで衆院選の反省を踏まえれば、全国に国民民主党に入れたい、入れたいけど入れられなかった、という声もたくさん頂いているので、選択肢をつくっていくということをまず今の段階では考えるのが公党としては当然だと思っている」
国民は衆院選で立憲や共産との「野党共闘」に参加せず、投開票後には立憲、共産、社民と一緒に行ってきた国会対策の枠組みから離脱することを決めるなど、独自路線を鮮明にしている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)