瀬戸内寂聴さん死去 「煩悩の作家」、出家後も旺盛な活動

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   作家として多方面で活躍し、文化勲章も受賞した瀬戸内寂聴(せとうち じゃくちょう=俗名・晴美)さんが死去した。2021年11月11日、各紙が報じた。99歳だった。

   天台宗の尼僧でもあり、ラジオやテレビ、新聞、雑誌にはしばしば登場。法話や人生相談、講演などに引っ張りだこで、自身の人生体験をもとにした本音トークで絶大な人気があった。死刑廃止や脱原発など社会性の強い行動にも積極的に参加していた。

  • 写真:ロイター/アフロ
    写真:ロイター/アフロ
  • 瀬戸内寂聴さんのインスタグラムより
    瀬戸内寂聴さんのインスタグラムより
  • 写真:ロイター/アフロ
  • 瀬戸内寂聴さんのインスタグラムより

文化勲章受賞、200冊を超える著書

   1922年、徳島市生まれ。東京女子大卒。同人誌などで下積み時代を経て57年1月、『女子大生・曲愛玲』で新潮同人雑誌賞を受賞。61年『田村俊子』で田村俊子賞、63年『夏の終り』で女流文学賞を受賞し、作家としての地位を固めた。

   その後も92年、一遍上人を描いた『花に問え』で谷崎潤一郎賞、96年『白道』で芸術選奨文部大臣賞、2001年『場所』で野間文芸賞、08年安吾賞、11年『風景』で泉鏡花文学賞受賞を受賞した。

   『田村俊子』のほか、作家の岡本かの子を主人公にした『かの子撩乱』、恋と革命に生きた伊藤野枝を扱った『美は乱調にあり』、大逆事件の管野須賀子や朴烈事件の金子文子などの伝記的作品、婦人運動家の平塚らいてうを中心とした『青鞜』など、時代に挑み、信念を持って果敢に人生を駆け抜けた「新しい女」「多情な女」を主人公にした作品群で際立った。06年に文化勲章を受章した時の受章理由では、「近代の自我に目覚めた女性たちの姿を描いた」ことが高く評価された。

   1973年、今春聴(作家の今東光)大僧正を師僧として天台宗得度。87年、寂聴に改名した。小説、エッセイ、人生論、仏教関係書など200冊をはるかに超える多数の著書がある。『源氏物語』の現代語訳でも知られている。

姉妹サイト