自民・公明両党で、所得制限つきで18歳以下10万円給付が決まった。
18歳以下で一律に10万円の給付金ならば、予算額は2兆円程度だ。960万円の所得制限がつくとさらに1割程度減少する。この金額は、現状GDPギャップ(ほとんどの人が職を確保できるGDP水準から現状のGDP水準を引いた金額)は35兆円程度なので、これでは必要な有効需要が確保できず、不十分だ。
昨年の10万円給付は交付事務が遅かった
さらに、どのように実施するかといえば、昨年の10万円給付と同じ方法なら、給付対象者は、18歳以下で住民基本台帳や外国人登録原票がベースで決められる。給付額は1人あたり10万円。給付事務は地方自治体が行い、(1)対象家計に給付金「申請書」を送付し、(2)親が本人確認の書類を同封し地方自治体に返送し地方自治体が本人確認を行い、(3)銀行振込などで現金給付――という手続きだ。
この手続きは迅速でないと、昨年の10万円給付金の時にも指摘したが、案の定、実際の交付事務は遅かった。
さらに、昨年の10万円給付金も、非課税措置がとられたので、所得制限は事前も事後も行われなかった。
筆者の考えは、全国民に10万円給付だ。これで予算額12兆円になるので、GDPの3分の1は埋められ、コロナ対策として一応の及第点になる。
しかも、記名式政府小切手方式で、事後課税措置とする。これで、迅速な交付が可能になり、いまも課税措置とするので事後的な所得制限ができ、困った人への対策になる。この案は、実際にアメリカなどで実施例がある。
記名式政府小切手が郵送できない理由はない
記名式政府振出小切手には受取人の名前があるので誤配達や盗難にあっても記名人以外は銀行で換金できない。というわけで、郵送では危ないという人も心配無用だ。実際、選挙時に投票所入場券が郵送されるので、記名式政府小切手が郵送できない理由はない。
記名式政府小切手方式が迅速なのは、昨年の地方事務方式と比べて、前述(1)で記名式政府小切手送付となり、(2)(3)は政府小切手の換金のために金融機関に行くので省かれるからだ。
また、給付金は非課税措置をやらないと、一時所得として事後的に総合課税できるので、事後的な所得制限にもなる。
マイナンバーがもっと普及していれば、マイナンバーに銀行口座を紐付けして銀行口座に振り込むのがもっとも迅速な方法だが、そこまで普及していない現状では、記名式政府小切手が先進国で行われている方法でもあり、簡便だ。
自民・公明の案より、こうしたまともな案はあるが、それがとられない理由の一つとして、財務省がある。その事務次官である矢野康治氏は、吹き出しものの見解をもち、月刊誌に投稿した。それについて、本コラムでも反論を書いたが、最近安倍晋三元首相も月刊誌「WiLL」12月号(10月26日発売号)で矢野氏の会計知識不足を指摘している。しかし、岸田首相は矢野氏を容認しており、現に首相動静によれば、矢野氏は官邸に行っている。是非とも補正予算の国会審議では、矢野氏の資質について野党は質問したらいいだろう。