乗車したタクシーの車内に閉じ込められたと、乗客女性がツイッター上で訴えた。女性によれば、「エコーカード」をめぐって運転手に恫喝され、下車を望んでも降ろしてくれなかったという。
J-CASTニュースは、乗客女性と、運転手が加入している東京都タクシー協同組合に取材した。
「お金払わなくていいからエコーカード返して!」
女性によれば、タクシーに乗車したのは10月28日14時ごろ、東京・新宿6丁目付近。運転手の男性は、乗車時にはタメ口で話しかけてきたものの、行き先を伝えると無言になったという。
運転手の態度に不安を感じた女性は、エコーカードを手に取った。エコーカードは、サービス改善を目的として運転席の後ろに設置されているもので、苦情や意見などを伝える連絡先が記されている。すると運転手はタクシーを止め、「クビになるからエコーカードを返してくれ!」と女性に迫ってきたという。
女性から提供された動画を参照すると、運転手は女性に対しこう訴えていた。
「あのーエコーカードって駄目なんですよね。だからお金払わなくていいからエコーカード返して! タダでいっから。クビになっちゃうんだよ会社! お願い、お願いします」
「なんでそんなエコーカード抜くわけ? 頼むよ、お願い、お願いします!」
女性は急いでおり、料金は支払うので早く目的地に向かってほしいと訴える。しかし運転手は車を止め、カードを渡すよう懇願を続けた。そして乗客と運転手の間に設置されたビニールシートの間から手を伸ばし、女性のカバンに手を触れた。
この瞬間、女性は恐怖を感じたという。「おろしてください!」「触らないでください!」と叫び、下車させてほしいと頼む。
女性によれば、タクシーのドアはロックされており、自力で降りて外に出ることができなかった。警察に通報し、訪れた警官が外からドアを開けてようやく降りることができたという。
そして同日17時半ごろ、女性はツイッターにこのトラブルを投稿した。女性が拡散した動画は8日20時現在までに約21万回再生されている。
東京都タクシー協同組合「適切な対応ではありません」
女性が乗車したのは、東京都タクシー協同組合に加入している個人タクシーだった。東京都タクシー協同組合によれば、運転手は同組合と東京タクシーセンターから事情聴取を受けたという。
東京タクシーセンターは、タクシー業務適正化臨時措置法に基づく国土交通大臣の指定を受け、公正中立な立場でタクシー業務の適正化と輸送の安全性及び利用者の利便性向上を図る公益財団法人だ。タクシー利用客から寄せられる苦情や要望などの対応を行っている。
J-CASTニュースが新宿でのトラブルについて取材を申し込むと、東京タクシーセンターは11月5日、申告者本人以外の人への情報開示は行っておらず、個別案件の見解を述べることはできないと回答した。
一方で組合は11月8日、乗客がエコーカードを持ち帰ることを制止する行為や乗客を閉じ込めるような行為について「適切な対応ではありません」と見解を示した。運転手がこのような対応を行った理由ついては、こう推測する。
「現場に居たわけではないので、真意は測りかねますが、おそらく苦情案件になるのを恐れたためと思われます」
乗客女性が恐怖を訴え、SNS上でも「これだから個人タクシーには乗りたくない」という声が寄せられていたことについては、こう受け止める。
「当該運転手の行為は許される行為ではなく、弁解の余地もありません。組合としては個人タクシーに対する厳しいご指摘を真摯に受け止める所存でございます。
再発防止の取り組みについては、従前から講習会等でサービス提供及びマナー向上を啓蒙してまいりましたが、今後より一層、教育指導等の徹底を図ってまいります」