台風&コロナで食糧難...北朝鮮の一手は「コクチョウ大量飼育」 「人民生活向上の基盤」になるのか

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「21世紀有数の健康食品、理想的な抗癌食品」??

   この工場のコクチョウ飼育の取り組みは、20年7月末に「我が民族同士」などの対外宣伝サイトに掲載された記事でも紹介されている。記事では、コクチョウについて

「肉の味が独特で栄養価が非常に高いため、21世紀有数の健康食品、理想的な抗癌食品として公認されている」

と紹介しており、農業省の幹部が

「他の肉より脂肪の融点が10度くらい低いので消化吸収にもよい。特に、他の肉にはごく少量で、または含まれていない免疫グロブリンやリノール酸、抗癌物質が多く含まれている」

などと説明している。

   記事では、工場の取り組みについて

「工業的な方法で飼育するための科学研究に力を入れて成果を収めている」
「その飼養工程を工業化し飼養管理技術を解決するために努力している」

などと表現。大量飼育が課題になっていることを報じていた。

   大量飼育を急ぐ背景には、北朝鮮の食糧事情がある。金正恩総書記は、6月15日の朝鮮労働党の会議で

「農業部門で昨年の台風の被害のため穀物生産計画を未達成だったことで、現在、人民の食糧状況が切迫している」

と述べたのに続き、9月29日に行った演説で、

「人民に安定して裕福な生活を提供するには農業の発展に優先的な力を入れなければならない」

と発言。労働新聞によると、正恩氏は「農業生産を飛躍的に発展させて近い将来に食糧問題を完全に解消するという朝鮮労働党の確固不動の意志と決心を披歴した」という。

   北朝鮮は新型コロナウイルスの感染拡大が本格化した20年1月に国境を閉鎖し、事実上の鎖国に突入。中国との貿易は大半が止まったままで、食料輸入が滞っていることが食糧不足に拍車をかけている。北朝鮮は国境近くに大規模検疫施設を建設し、21年夏にも本格的な貿易再開を目指しているとみられていたが、現時点では本格再開には至っていない。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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