日本ハムの新監督に就任が決まった新庄剛志氏が、メディアの注目を独占している。2021年11月4日の就任会見でも、「新庄流」をいかんなく発揮し、大きな注目を集めたばかり。
「今季限りで退任する栗山監督は10年間の長期政権で近年は下位に低迷し、閉塞感が漂っていた。次期監督はGMに就任した稲葉篤紀氏が既定路線だと思われていただけに、この抜擢はサプライズです。
どういった野球を見せてくれるのか全く想像がつかない。日本ハムファンだけでなく、プロ野球ファンがワクワクしていると思います」(スポーツ紙デスク)
引退宣言、二刀流挑戦も...
新庄氏を一言で表現するならば、「破天荒」だろう。
阪神のスターとして人気絶頂だった時に突然の引退宣言。敬遠球に飛びついてサヨナラ打を放ったり、野村克也監督の発案で投手と外野手の「二刀流」に挑戦したりしたこともあった。ファンが予想さえしなかった行動を続けてきたのだ。
メジャー挑戦時は「通用しない」という見方が多かったが、チャンスに強い打撃でジャイアンツ在籍時に日本人初のワールドシリーズ出場を果たした。日本ハム時代は試合開始で守備へ就く際に、ハーレーダビッドソンのバイクを運転して守備位置へ向かうなど、「新庄劇場」で球場を盛り上げた。
実力も伴っていた。17年間の現役生活で、「球界屈指」と形容された外野の守備でゴールデングラブ賞を10回受賞。打撃でも日米4球団で1524安打、225本塁打をマークした。その派手な言動とは裏腹に、意外にも「理論派」で知られていた。
「一挙手一投足から目が離せません」
現役引退後はタレントとして活動し、バリ島に移住。そして、19年11月に14年ぶりに現役復帰することを宣言して驚かせた。1年間のトレーニングを経て、20年12月に行われた12球団合同トライアウトではスライダーをはじき返して左前打を放った。
12球団から獲得のオファーは届かなかったが、前代未聞の挑戦は衝撃だった。日本ハムに所属していた時の番記者は、「シェイプアップされた体を見て驚きました。48歳とは思えない肉体で動きも俊敏だった」と振り返る。
「新庄はファンを喜ばせることを誰よりも強く考えている。大差で負けている試合で、『代打・オレ』って審判にコールして代打で登場する可能性があると思います。一挙手一投足から目が離せません」(スポーツ紙デスク、同上)
実際、21年11月4日の会見でも、日ハムOBで野球解説者の岩本勉さんから「代打オレ」の可能性に関する質問が出た。これに新庄氏は、
「実は今年の一年、野球の勉強しながら体は作ってきました。あと一回トライアウト受けるチャンスがあるんで、それは今ちょっと考えてます。そこで監督の僕が『あの選手いいやん!獲ったろうかな』という考えは頭の中にちょっとあります。後は球団と話し合います」
と冗談めかして答えていたが...。
球界の伝統にとらわれない「新庄ファイターズ」が楽しみだ。(中町顕吾)