スポーツは「ゴン攻め」、社会問題では「ヤングケアラー」
その後も清水氏の予想は続く。スポーツの分野では、やはり東京オリンピック・パラリンピックがそれなりの強さを発揮したとした上で、以下のように指摘した。
「さて、2021年は曲がりなりにもオリンピックが開催された年なので、オリパラから受賞語が出てほしいという気持ちはあります。流行現象を生み出すような行事とか大きな関心事がなかなかなくなって久しいですから、新語・流行語大賞にとってオリンピックは大事な宝箱になるはずだったのです。大谷翔平がどんなにメジャーリーグで大記録を作ったとしてもそれはあの世界の出来事にすぎず、五つの輪にはかないません」
「ところが、今回の五輪は、直前まで開催反対の声が高まりました。共感どころか、非常に違和感の漂う中での開催、強行となりましたよね。今までのオリンピックのような熱い感動の場面を求めるには無理があった。あえて面白さを探すならスケートボードの中継から出た言葉たちで、その代表として『ゴン攻め』を推しておきます。ただ、捨てがたいのは『オリパラ』というワード。パラリンピックの存在を強調するための新語としてよく普及した例で、たぶん選考委員会では拾いきれない用語でしょうけど、私は評価しておきたいです」
最後に、清水氏は社会問題の分野では、他の分野に比べると層が厚いのではないかと指摘した。
「『よく使われているのに受賞し損なってきた用語』とでもいう言葉があるんです。『SDGs』とか『多様性』『ジェンダー平等』などがいい例でしょう。社会を考えるときにいずれも大事な用語ですが、選考委員会ではどうしても1年限りに絞った状況から選びがちで、どうしても漏れてしまうんです。なので、これらを考慮に入れた場合、社会問題からは、『多様性』『ジェンダー平等』『ヤングケアラー』がトップテン入りするのではないでしょうか。ただ、『親ガチャ』『生理の貧困』『わきまえない(女)』も、候補として非常に捨てがたく感じました」
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)