民放の衆議院選挙特別番組(特番)が2021年10月31日に横並びで放送され、各局は趣向を凝らして差別化を図った。
視聴者はどの番組を評価したのか。SNSデータからひも解くと...。
甘利明幹事長への耳の痛い?質問に注目
日本テレビ系「zero選挙」は、フリーアナウンサーの有働由美子氏、嵐の櫻井翔さんの2枚看板で、「どこよりも早く、正確で、伝わる開票速報」を掲げた。人気声優がナレーションを担当し、若年層の取り込みも図った。
放送日に番組のハッシュタグを含むツイートをSNS分析ツール「Social Insight」で調べると、櫻井さんへの言及が目立った。「櫻井キャスターの取材楽しみ」「櫻井キャスターがいなかったら報道番組を見ようなんて思わなかった」。投稿者の女性比率(推定)は61.3%で、民放5局で最も高かった。
放送開始をピークに書き込みは徐々に減っていったが、自民党の甘利明幹事長と河野太郎広報本部長へのインタビュー時に盛り上がりがあった。
甘利氏は金銭授受疑惑を鋭く追及された。落選確実で自身の進退を問われると「一番最初にお話しするのはカメラに向かってではなくて総裁に向かってお話しするんじゃないんですか」と回答しなかったが、有働アナは「カメラの向こう側には国民がいるわけですが」と皮肉を込めて指摘し、時間切れとなった。
TBS系「選挙の日2021 太田光と問う!私たちのミライ」は、「与野党問わず政治家に忖度なしで切り込む!」との触れ込みで、お笑いコンビ・爆笑問題の太田光さんがスペシャルMCを務めた。Z世代と呼ばれる若者の代表として、トラウデン直美さんやりゅうちぇるさんも出演した。
ツイッターでは日テレ同様、番組の顔である太田さんに関する投稿が少なくなかった。
「甘利さん、これもう戦犯ですよね?もし負けたら」「(れいわ新選組・山本太郎代表に)あいつ態度悪いね」「(二階俊博自民党前幹事長に)人相が悪いんですけど怒ってますか?」と、対談相手への歯に衣着せぬ発言が次々に飛び出した。視聴者からは「面白い」と評価する声がある一方、「酷い」「態度悪い」と苦言も寄せられた。
賛否を呼んだためか、ツイート数は「#zero選挙」を含む投稿(6763)に続いて5番組中2番目(4161)だった。自民党の高市早苗政調会長に対し、太田さんが学校法人森友学園をめぐる公文書改ざんについて見解を質した場面で、言及が相次いだ。