立憲民主党、共産党などが衆院選の選挙区で候補者を一本化した野党共闘について、結果として「共倒れ」に終わったのではないのかと、ネット上で厳しい声が噴出している。
立憲民主党では、枝野幸男代表の責任を問う声も多く、枝野代表らは、近く進退を判断すると報じられている。一体何がいけなかったのだろうか。
「選挙は数取り合戦なので、その意味では失敗だったのでは」
コロナ対策への不満や相次ぐ不祥事で自公政権への批判は強いとして、枝野代表は、衆院選を戦うのに当たって、政権選択の選挙だと盛んに強調していた。
マスコミの世論調査でも、自民党が単独過半数を取るか微妙な情勢だと報じられたが、2021年10月31日に投開票が一斉に行われると、翌11月1日未明には、自民党が前回より議席を減らしたものの絶対安定多数の261議席を獲得したことが分かった。一方、立憲民主党は、公示前の110議席から96議席に落ち込み、共産党も、12議席から10議席になった。
枝野代表は、結果がはっきりする前の31日夜、NHK番組に出演し、野党共闘について、「かなり多くの選挙区で接戦にまで持ち込めたというところであり、一定の効果があった」と述べた。しかし、議席を減らしたことに対して党内から不満が出ていると伝えられ、共闘は「共倒れ」に終わったのではないかと厳しく指摘するメディアもあった。
立憲民主党幹部の進退問題も浮上しており、枝野代表らは、11月2日までに判断する見通しだとも報じられている。
同じ野党でも、対照的だったのは、日本維新の会だ。
共闘とは距離を置き、独自の戦いだったが、41議席と公示前の11議席の4倍近くにも達し、自民、立憲に次ぐ第3党に躍進した。強固な地盤がある大阪府内では、選挙区で3議席から15議席への大幅増となって自民を圧倒した。
野党共闘の結果について、政治評論家の有馬晴海さんは1日、J-CASTニュースの取材に対し、次のような見方を示した。
「自民党は、不満を持つ人も多く、それほど勝っているわけではありません。大臣級だった自民党の大物議員が次々落選しており、共闘には成功している部分もあるかもしれません。枝野さんが接戦だったと言っているのは、かなり競っていた選挙区が多かったからでもあるとは思います。とはいえ、数取り合戦であるのが選挙です。数を減らしたので、その意味では、共闘は失敗だったのではないかと思います」
「立憲はリベラル過ぎて、保守層の人たちは維新に逃げた」
共闘がうまくいかなった理由については、有馬さんはこう指摘する。
「立憲民主党が自らの政策を捻じ曲げたわけではなく、共産党が候補者を立てなかっただけです。共産党も立憲の候補に対して力を入れて応援していたわけではありません。しかし、共産党が一緒になったことで、普段は違うのに選挙のときだけ協力することが気に入らない人が多かったと思います。政権を取れば閣外協力という形でしたが、外交政策でも一緒だとおかしいと思われてしまったのでは。足せばどうにかなると考えたのだと思いますが、うまくいきませんでしたね」
連合の芳野友子会長も、共闘に異議を唱えており、応援しているのになぜという組合員も多かったのではないかと有馬さんはみる。
日本維新の会が躍進したのは、こうした有権者の心理が影響したのではないかと分析した。
「自民がいいとは思えないが、立憲はリベラル過ぎて、保守層の人たちは維新に逃げたのではないかと思います。維新が獲得した議席は、大阪と兵庫の1議席以外は、すべて比例です。選挙区では自民に入れて、比例は維新にした人も多かったのでは。大阪では、市議やバス運転手らの給与削減などの成果を上げて、維新しかないという人は多いですね。これまで自民と合流するのではと言われてきましたが、改革ができると支持を広げて、大阪以外でも独自の活動で少しずつ根を張ってきています。これに対して、立憲は、共産に票を借りようとしているだけで、根を生やす努力をしてこなかったようにも見受けられますね」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)