お笑いコンビ「爆笑問題」の太田光さんが2021年10月31日、衆議院総選挙の開票特番「選挙の日2021 太田光と問う!私たちのミライ」(TBS系)で、自民党の甘利明幹事長に舌鋒鋭く迫り、インターネット上で賛否を集めた。
太田さんは、小選挙区での劣勢が伝えられた甘利氏に対し、「(もし負けたら)戦犯ですよね」「総裁がOKって言ったら自分からは身を引かないってことですか?」「ご愁傷様でした」などと発言。ツイッターで「最高!」「失礼にも程がある」と賛否の声があがった。
「『政治とカネ』が尾を引いたと思うんですけど」
投票が締め切られた20時過ぎ、番組スタジオは甘利氏と中継を繋いだ。太田さんが「ご無沙汰してます。太田です」とあいさつし、甘利が「どうも。お元気ですか?」と応じると、太田さんは「元気です。甘利さんお元気そうじゃないですね。何かあったんですか?」とし、「甘利さん、これ負けるとなると、自民党的にも相当、幹事長ですから責任問題になりますよね?」と質問した。
甘利氏は「ええ、責任を感じております」と答えると、太田さんは「どの辺が一番原因だと思いますか?」と立て続けに聞く。甘利氏が「自民党全体ですか?」と確認すると、太田さんは「いや甘利さんが。甘利さん、これもう戦犯ですよね? もし負けたら」と言葉を浴びせた。
甘利氏は「私自身のことでいえば、私が思い描いていた、日本を未来こういう形にしたいというプラン、8合目までできたんですけど、その思いが選挙区に伝わらなかった。私の力不足ですね」となおも淡々と答えたが、太田さんは「力不足というか、甘利さん、『政治とカネ』が尾を引いたと思うんですけど、国民にはどういう受け止め方されたと思っています? 金に汚いとか」と、2016年に発覚した建設会社からの金銭授受問題に言及。甘利氏は当時、経済再生担当相を辞任している。
太田さんの質問に甘利氏は「私が事件に関与していると思われたんだと思うんです。私自身は全く関与していない。週刊誌で初めて全容を知ったくらい」としたが、太田さんは「今までどおり『秘書がやりました』と同じ言い訳なんだけど」と迫る。甘利氏は「ですから、監督責任があると思った。私は秘書がそういうことをしていると、週刊誌を見るまで知りませんでした」と繰り返した。
「あまりにもせこいじゃないかと。『あまり』だけに」
ここで太田さんは「俺は普通の人とは違うけど」として自身の考えを述べる。「政治家は仕事さえできれば、多少金に汚くてもいいじゃないかって。俺だけの考えですよ。でも甘利さんの今回のことって、甘利さんはTPP(環太平洋パートナーシップ協定)でかなりハードな交渉をやったわけじゃないですか。お金の関税の交渉ですよね。それをやった人が、自分の事務所の金の出し入れすらできなかったって、『こんな人に経済再生なんて任せられるのか、この人仕事できないんじゃないか』って、俺はそんな気がした」と迫った。
甘利氏は「それは私の不徳ですよね。私はTPPを命がけでやっていまして」「アメリカと交渉するって相当ストレスなんですね」と、自身の成果を振り返った。だが、太田さんはなおも「その評価はあると思うけど、そういうことをやった人が自分の事務所の金の出し入れすらできなかったのかと言ったら、『これ役人が全部用意したことをやったんじゃないの』って思われてもしょうがない気がするんだよね。そういう不信を持った人もいっぱいいる気がして、俺は甘利さんの政治家としての資質にがっかりした。受け取ったのも100万円ごときでしょ、たかが」と迫った。
甘利氏は「これは大臣の就任祝いに来て、届出をしたんです。確認されているんです」とするも、「今までどおりの言い訳」と太田さん。そこで「太田さんだったらどうするんですか?」と逆質問されると、太田さんは「俺なんか裏口入学で、親父が800万円払ったって疑われてるんですよ」と、日本大学芸術学部への裏口入学報道について自ら切り出した。
甘利氏は「どう晴らします?」とさらに聞いた。太田さんは「30年前の話ですよ。それで800万円だけど、100万ごときで疑われているスケールって、その規模感って、日本経済を何とかしようって仕事ができるんですか、そんな人に。俺は普通の人の意見と違いますよ。あまりにもせこいじゃないかと。『あまり』だけに」と甘利氏の話に戻していた。
甘利氏「そういうことを聞く番組ですか?」
その後、甘利氏が小選挙区で敗れた場合に幹事長を辞任するかどうかについての話題に。「総裁に身を任せます。私自身の議席があるかまだ分かりませんから」とする甘利氏に、太田さんは「勝ったとしても、総裁に任せるってこと? 総裁がOKって言ったら自分からは身を引かないってことですか?」と追及する。甘利氏は「そういう状況になってですね、しっかり相談したいと思っています。そういうことを聞く番組ですか?」とやや苛立ちを見せるが、太田さんは返す刀で「そういうことを聞く番組なんですよ」と答え、2人で笑っていた。
最後に太田さんは「まあ今、相当ショックな状態になっていると思いますので、いろいろこれから考えてください」と笑うと、「ご愁傷様でした」との言葉を送った。甘利氏は「どうも」と苦笑いしながらお辞儀をし、中継を終えた。
火花を散らせた2人のやり取りは、ツイッターでも注目を集めた。太田さんの発言や態度をめぐって、「太田さんマジ最高!! 開始速攻で甘利を詰める感じは見ててスカッとする!」「TBSの選挙特番で、爆笑の太田さんが甘利氏にグイグイ言ってくれたのは良かった。ちょっとドキドキしたけど笑」「忖度しないぶっ込み発言する太田光のTBSの選挙特番は見てて面白いね!」などと評価する声もあれば、「TBSで太田光が甘利に爆笑しながらご愁傷様ですって言ったのは品がねぇなと思った」「甘利さん応援しててもしてなくても、太田光が不快すぎてビックリした。失礼にも程があるだろ」「太田光VS甘利幹事長 さすがにこれは放送事故レベルでは?」などと否定的な声もあがっている。
番組では中継を終えた直後、スタジオのアナウンサーが甘利氏について「涙目のように見えました」と述べると、太田さんは「そりゃそうですよ。かわいそうですよ、あんまり責めちゃ」とすっとぼけ。「いやいや太田さんですよ」とツッコまれていた。