近畿日本鉄道が新たな観光特急「あをによし」を発表した。
デビューは2022年4月29日。大阪難波~近鉄奈良~京都間を乗り換えなしで結ぶのが最大の特徴だ。
「あをによし」デビューで12200系が復活
「あをによし」は、午前中は大阪難波→近鉄奈良→京都まで、その後は京都~近鉄奈良間を2往復し、京都→近鉄奈良→大阪難波へ至る。
運行日は週6日の予定だが、春休み、夏休み、ゴールデンウイークなどは全日運行する。正式な運転時間や利用料金は後日発表するとのことだ。
車両は21年11月にラストラン予定の12200系特急車を改造したもの。4両1編成となり、2人用のツインシートと3~4人用のサロンシートを用意する。また販売カウンターが設けられ、専属アテンダントが軽食や飲料などの販売を行う。
外装は天平時代の高貴な色とされる紫色のメタリック塗装となり、現行の近鉄特急色とはまったく異なる配色だ。
ちなみにJR西日本ではJR難波→京都(奈良経由)の列車が平日は2本、土休日1本が運行されている。このうち土休日のJR難波発京都行はJR難波→奈良間は快速、奈良→京都間は「みやこ路快速」として運転される。
筆者はこの列車に乗車したが、大阪府から京都府へ乗り通す乗客は皆無で、奈良駅でほとんどの乗客が入れ替わった。
大阪難波-京都を結ぶ特急は約20年ぶり
2021年10月現在、大阪難波~京都間を結ぶ直通特急は存在しない。
1973年~1992年3月までは近鉄難波(現大阪難波)~京都間を結ぶ特急(阪京特急)が運行していた。。この特急は近鉄難波~京都間を約1時間で結んでいたが、「あをによし」と異なり、大和西大寺駅でスイッチバックをした。
1987年時刻表を開くと、近鉄難波~京都間に1日上下各3本が設定されていたことがわかる。大阪~京都間はJR新快速で約30分で結んでいることを考慮すると、乗り通す乗客は少なかったように思う。
経路や列車の性格は異なるが、「あをによし」のデビューはこの「阪京特急」の復活ともいえる。
(フリーライター 新田浩之)