著作権侵害にあたる?弁護士の見解は
そもそも、今回の広告は著作権侵害にあたるのだろうか。J-CASTニュースは、弁護士法人 天音総合法律事務所の正木絢生・代表弁護士に聞いた。
正木弁護士は、あくまで編集部が提供した広告動画に関する資料だけを見たうえでの回答だとしつつ、
「本件は、著作権法21条の複製権の侵害に当たると考えられます」(正木弁護士)
と指摘。複製権の侵害は「著作物の表現に関し本質的な特徴の同一性を維持している」場合に当てはまるとして、下記のように説明した。
「『同一性を維持している』というと、トレースをした場合にしか認められないようにも思えますが、あくまで独創性・創作性という観点で同一であればよいので、特徴的な点について共通していれば『同一性』があると認められます。
本件漫画と本件広告の特徴を比較すると、性的交渉を目的とした交際相手が5人いること、その中に本命がおり、特定の性的嗜好を持っていること、本命に彼女ができたこと、絵の構図等に多数共通点がみとめられます。
一部、女性との会話が加えられていたり、セリフの順番が変更されていますが、話の筋に影響が出るようなものではなく、創作性に影響が出るような変更とはいえません。以上から、本件広告は本件漫画の本質的な特徴の同一性を維持しているといえます」(正木弁護士)
上記のように結論付けたうえで、次のとおり補足した。
「漫画と広告の表現方法が異なっていますが、その部分の変更によって新たな思想・メッセージ性が生み出され、新たな創作物となっているといえる場合は、著作権法上『翻案』にあたり、著作権法27条の翻案権の侵害となります。
異論はあるかもしれませんが、私としては、(今回の広告は)新たな思想性・メッセージ性を生み出してはいないと考えます」(正木弁護士)
考えられる罰則は「複製」の場合も「翻案」の場合も変わらず、刑事では「十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金」に処される可能性があり、民事でも損害賠償を請求される可能性があるという。