ネット広告に漫画をパクられた――
そんな漫画家の訴えが注目を集めている。発端となったのは、ドラマ化もされた漫画「来世ではちゃんとします」(以下、来世ちゃん)の作者・いつまちゃん氏の2021年4月のツイートだ。編集者と協力し、対応に当たるとも明かしていた。
事態が動いたのは9月。問題となったネット広告を制作した会社が、「確認を怠った」などと非を認め、謝罪文を発表したのだ。とはいえ、謝罪文が出たのは作者の告発から5か月後。その間にいったい何が起きていたのか。
J-CASTニュースは、いつまちゃん氏と担当編集者に詳しいいきさつを聞いた。
「来世ちゃん」パクリ広告がYouTubeに
来世ちゃんは、「性をこじらせた大人たち」を描くラブコメディ漫画で、17年11月に集英社「グランドジャンプめちゃ」掲載の読み切りからスタートした。テレビ東京系列でドラマ化もされ、20年1月~3月に1期、21年8月~9月に2期が放送されていた。ドラマの主演は俳優・内田理央さん。
パクリ広告をめぐる騒動が起きたのは21年4月頭。来世ちゃんに内容が酷似した広告動画が、YouTubeで配信された。いつまちゃん氏は、フォロワーの指摘で広告の存在を把握。4月2日にツイッターで、動画は許諾なしに制作・公開されたものだと被害を訴えた。
動画では、作品を模倣してダイエット系の栄養機能食品の販促が行われていた。キャラクターなど作品を特徴付けている主要な設定が共通していたほか、原作漫画やドラマ版と酷似したセリフもあった。また、原作の1コマをトレースしたようなシーンも複数見つかった。
いつまちゃん氏は先のツイートに続けて、
「パクるだけパクって桃ちゃんぽい人を勝手に太らせてAくんぽい人にこんなセリフ言わせるの凄いムカつく...なんだと思ってるんだ私の作品を」(編注・「桃ちゃん」は同作の主人公、「Aくん」は主要キャラの1人)
と怒りを滲ませる。編集部に相談しているとして、対応に乗り出していることも明かしていた。
10月5日、取材に応じたいつまちゃん氏は、広告動画が出たのは月額制動画配信サイト・Netflixのランキングに乗るなど世間的に作品への注目が集まっていた時期でもあったと振り返った。