アプリ経由の通報も続々
このアプリを作った理由について、厚労省の監督課は10月28日、J-CASTニュースの取材に担当者がこう説明した。
「高校生や大学生がアルバイトをしていて、何も知らずに損をしていることがあると思います。例えば、休憩時間を入れないといけないことや仕事中のケガで労災を使えることを知らない人も多いですね。若い人たちに労働条件について知ってほしいと思って作成しました。難しい文書ですと読んでもらえませんので、アニメ風にする方がいいと考えました」
アプリは、企業や学校でも活用されていると担当者は言う。
「教材として使う学校は多く、高校に入ってアルバイトをするのに備え、社会科の授業で使った中学校の先生もおられました。また、人事部の人自身も詳しくなかったりして、企業の研修で使いたいといった問い合わせがけっこうありますね。残業代が出ないことを何とも思っていない人もいますが、時間外・休日労働に関して36協定が労使間で結ばれていないと残業代を出さないといけません。有給休暇を取らせてもらえないのが当たり前だと思っている人も多いですね」
アプリをきっかけに企業の違法行為を通報するケースも増えてきているといい、現在は、月に50件以上あるという。労働環境が劣悪な企業には、労基署の監督が入ったこともあったとした。本人が直接会社とやり取りすれば社内で不利益を受ける可能性もあるため、積極的に通報してほしいとしている。
厚労省自体の労働環境についても、劣悪な部分があると報じられることもあるが、担当者は、「公務員は、36協定の対象ではありませんが、残業代は当然出ますし、言われているようなブラックではありません。休憩も取らないといけないと言われています」と反論した。アプリについては、作成した監督課内では見ているが、同省全体でどうかは分かりかねるという。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)