英国で開かれる国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)について、岸田文雄首相は2021年10月31日の衆議院総選挙直後に参加する予定だ。岸田首相としては衆院選直後の初外遊、その意義はどうか。
COP26首脳級会合では代理やオンライン出席は認めていないので、岸田首相が欠席すれば日本が温暖化対策に熱心でないと見られかねない状況だった。岸田首相の出席は日本としては喜ばしいことだが、やはり手順前後の印象は拭えない。
英首相のリードで石炭火力全廃の方向が出てもおかしくない
総選挙の投開票は10月31日であるが、11月7日が当初予想されていた。というのは、10月30~31日にはイタリア・ローマでG20首脳会議が開催され、その直後にイギリス・グラスゴーでCOP26の首脳級会合が予定されていたからだ。
ともあれ、岸田首相には頑張ってほしい。まず、世界では、中国、インド、サウジアラビア、トルコの4カ国合計で世界の温室効果ガス排出量の約3分の1を占めるが、まだまともな計画を出していない。それらを提出させるようにまず圧力をCOP26でかけていかなければいけない。習近平主席がCOP26に参加するとの情報はまだない。であれば、COP26で、英ボリス・ジョンソン首相がリードして石炭火力全廃の方向が出てきてもおかしくない。
この石炭火力について、「2030年までに全廃」という方向は国連がOECD諸国に呼び掛けている段階で、G20の環境大臣レベルではまったく合意が得られていないものだ。
日本は、先日閣議決定した新エネルギー計画で、2030年の新目標で石炭火力は19%残っている。このため、中国などへ石炭火力の全廃を言いにくい状況だ。先進国は2030年、途上国は2040年に全廃というのが世界の相場になっているので、ここは、アメリカにあわせて、2035年という目標も出てくるかもしれない。