野党のファクトチェックが少なくなる理由
政治家に関する検証記事8本のうち5本が与党政治家の発言で、野党の発言よりも検証される機会が多い。立岩氏はその理由を
「我々はファクトチェックだから、『ファクト』をチェックする。野党に多いのは精神論で、チェックの対象にならない発言が実は多い。『平和な国家を作ります』なんて言われても、何をファクトチェックすればいいのか分からない、そういうのが多い。そういう意味では、与党の発言の方が(取り上げる割合が)大きくなってしまう。これは仕方ないと思う」
などと説明した。
ただ、FIJの楊井人文事務局長は、野党も様々なデータを駆使して安倍政権の経済成長などについて批判を展開する場面があるとして、「議論の前提となる事実が本当に正しいのかどうか」について検証することがファクトチェックでは重要だと指摘。異論を唱えていた。
今回の選挙に限らない情報も検証された。毎日新聞は、選挙機材大手「ムサシ」の大株主が安倍晋三元首相だ、というネット上の噂を検証。同社が公開している有価証券報告書の「大株主の状況」の欄に安倍氏が登場しないことを根拠に「誤り」と判断した。「ムサシ」をめぐる怪情報は、選挙のたびに流れる「定番」ともいえる存在だ。毎日新聞デジタル報道センター長の日下部聡氏は、こういった情報を検証する意義を
「選挙のたびに毎回毎回出てくる言説(情報)をきちんとチェックしておくことで、将来にわたるストック(蓄積)になるのではないか」
と話した。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)