約100メートルのレースコースをアルパカが猛ダッシュで駆け抜ける。そんな画像がSNS上で拡散され、大きな注目を集めている。
話題となったのは、長野県富士見町の八ケ岳アルパカ牧場で開催されている「アルパカダービー」。同所では馬券ならぬ「パカ券」が500円で販売されており、1着を切るアルパカを当てると園内で1000円分の買い物ができるという。
J-CASTニュースは2021年10月21日、同園の牧場責任者であり広報係を務める井手真哉さんに、アルパカダービーを企画した意図を取材した。
「動きのある一面を見せたい」
八ヶ岳アルパカ牧場は2016年にオープン。標高1000メートルに位置し、八ヶ岳の麓や南北のアルプスが見える。園内には多数のアルパカが暮らしており、アルパカショーやエサやり体験などを楽しむことができる。こうした催しの中でも、多くの人が目当てに訪れるのが「アルパカダービー」だ。
井手さんによると、アルパカの走った時の最高時速は60キロ。普段は大人しいアルパカの動きのある一面を見せたいと考え、開催するようになったそうだ。
走らせるのには、アルパカの習性を利用しているという。
「アルパカを走らせる方法は2パターンあります。走るのはオスのアルパカと子供のアルパカです。ゴール地点、園の奥にある『わくわく広場』にメスのアルパカがいます。オスはメスを見ると駆けていく、子供のアルパカは親の元に帰るために駆けていきます」
来場者は好みのアルパカの「パカ券」を購入することができる。1着を当てると購入額の倍のお買い物券になるが、外れても元値500円のお買い物券として利用できる。
当て方のコツはあるの?
「負け」なしでお得な「パカ券」ではあるが、1着を当てるコツなどはあるのだろうか。井手さんに尋ねると、こう答えた。
「基本的にどの子が1位になるかはアルパカの気分次第です。『この子が必ず勝つ』というのがないのが、面白いところです。中盤まで走っていたアルパカが途中で止まってしまうこともあり、そういったグダグダ感もお客さんに好評です」
勝敗はアルパカの気分次第であるため、スタッフでさえ予測がつかないレースが楽しめるそうだ。
SNS上では、そんなアルパカダービーを楽しんだ来場者が撮影した写真が拡散されている。同投稿には約3万件近いリツイートと、約9万「いいね」が寄せられており、疾走するアルパカが「かわいい」と大好評だ。こうした反響について井出さんは、こう話す。
「お客さんがSNSに投稿していただいた影響は大きいです。まだ歴史の浅い牧場なので、こうして知っていただけるのはすごくありがたいことですね」
SNSやテレビなどで話題になったことで、来場者数は増え続けており、現在は年間約3万人が訪れる。今年は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言が発令された影響で少し減ったものの、緊急事態宣言が明けると平日は200人、土日には300~600人が訪れているという。
井手さんは最後にこう述べた。
「コロナ禍で外出などが制限された中で生活されている方も多いと思います。アルパカ牧場は、コロナ対策もしっかりしていますし屋外ですので、アルパカに見て触れてたくさんの癒しを持って帰っていただきたいです」
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)