さまざまなデータや情報源を自分で判断していく社会が望ましい
つまり、対日感情が悪化した背景には(1)総裁選で候補者が中国に批判的な発言をする(2)中国政府が反発し、それを受ける形で中国メディアが日本に批判的な報道をする(3)中国の視聴者は報道をそのまま受け止め、対日イメージが悪化する(4)これまでは中国人が日本に旅行し、メディアでは得られない良い対日イメージを得る機会があったがコロナ禍で途絶えた、といった要素が絡み合っているとみられる。
記者会見では、国民がメディアに寄せる信頼度の違いも話題になった。中国側からは、日本メディアが国民に信頼されていない理由を問う声があがった。工藤氏は、この違いの背景には、日中の「基本的な文化の問題」があるとしている。工藤氏は、メディアをそのまま信頼することが日本の民主主義体制では必ずしも望ましいとは受け止められておらず、他の情報源と合わせて判断することが重視されているとの見解を示した上で、次のように説明した。
「いろいろな情報を考えるときに、さまざまなデータなり情報源を自分で判断していく社会が望ましいと我々は思っている。そのため『日本の国民が圧倒的に日本のメディアを信頼している』となると、それは我々日本の感覚から見れば、『ちょっと大丈夫か?この国は』と思ってしまう」
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)