日本旅行できないなら「自国のメディア報道を見るしかない」が...
さらに、「国民の直接交流がお互いの印象をプラスに転換させる」ため、中国人が日本旅行をすることで対日感情を改善させる効果があったが、コロナ禍でそれが途絶えたことも影響したとみる。そうなると「国民が直接交流がないときは自国のメディア報道を見るしかない」。そこで、両国の国民がメディアを見る目が大きく違うこともクローズアップされた。
「自国の新聞・雑誌・テレビの相手国及び日中関係についての報道内容および評論は、客観的で公平だと思いますか」という問いに対して、中国側は78.3%が「そう思う」と答えたのに対して、日本側は10.8%に過ぎなかった。工藤氏は
「メディア報道から日本の状況が伝わることによって、中国の国民感情に火がつくことがある、ということを、ここで理解した方がいい」
とも警告した。さらに、日本に対して「良くない印象を持っている」と回答した人に対してその理由を聞いた項目で、最も大きく伸びたのが
「一部の政治家の言動が不適切だから」(12.3%→21.0%、8.7ポイント増)
という項目だ。ここで工藤氏は、今回世論調査が行われた時期が自民党総裁選が行われた時期と近いことを指摘し、候補者から中国を批判する発言が相次いだことが影響したことを示唆した。