各地で熱戦が続く衆院選(2021年10月31日投開票)。激戦が予想される広島3区には、ネット上で密かに注目を集める候補者がいる。「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」(以下、N党)から立候補した矢島秀平氏(29)だ。
「落ち武者ヘアー」に「顔面ピアス」という個性的なビジュアル。異色の候補者は、今回の選挙戦で何を訴えているのだろうか。
ロックバンドのベース担当
「みなさんこんにちは! 千葉県から来ました、ジョニー・デップです!」
鼻と耳、口に施されたピアス。髪の中央部分だけを刈り上げた「落ち武者ヘアー」。なんとも奇抜な出で立ちの矢島氏は10月19日、JR緑井駅前(広島市安佐南区)で「第一声」をおこなった。
広島3区と言えば、当選7回を誇る河井克行氏(前自民党)の地盤だった。しかし、19年参院選での妻・案里氏への献金問題で公職選挙法違反の罪に問われ、辞職して政界を引退。今回の選挙で自民党は候補者を擁立せず、岸田文雄(広島1区)内閣で国土交通相に選ばれた公明党・斉藤鉄夫氏(73)を与党統一候補とした。
一方、共産党などとの「野党共闘」を進める立憲民主党からは、元教育関連会社取締役のライアン真由美氏(新人)(58)が立候補。さらに、日本維新の会・瀬木寛親氏(新人)(57)、無所属の元会社員・大山宏氏(73)、無所属の医師・玉田憲勲氏(64) ら合計6人が立候補した。
「激戦」の様相を呈す広島3区の中で、矢島氏は異彩を放っている。同氏の公式サイトによると、千葉県市原市出身の矢島氏は、成蹊大学理工学部在学中にプロのミュージシャンを目指すため大学を中退。19年夏にはビジュアル系ロックバンド「ジャックケイパー」のベース担当として加入した。
その後、バンドメンバーの全員が新型コロナウイルスに感染。矢島氏は「コロナに勝つ」という意味を込め、自身の髪形を「落ち武者ヘアー」に変更したのだという。