ホールケーキの切り分けに苦労したことはないだろうか。現在SNS上では、職人がフルーツタルトを綺麗に切り分ける動画に大きな注目が集まっている。
動画を投稿したのは近江屋洋菓子店(東京都千代田区)のツイッターアカウント。シャインマスカットが山のように積まれたケーキを、難なくカットしていく。目印なども用いず、均等に10等分のカットケーキに切り分けた。
J-CASTニュースは2021年10月21日、同店にケーキを上手にカットするコツなどを取材した。
綺麗にケーキを切り分けるコツとは
近江屋洋菓子店は1884年に東京都・神田で創業したケーキ屋だ。この時期は、ブドウやシャインマスカット、カキ、イチジクなど秋の味覚を楽しめるケーキを多く展開している。しかしフルーツをふんだんに用いたケーキをカットするのは至難の業だ。
取材に応じた近江屋洋菓子店の店主・吉田由史明さんによれば、店では果物をたくさん盛り付けているためカットが難しいケーキが多いという。シャインマスカットのケーキも、粒が高く積まれている。さらに葡萄種の皮は、マンゴーやイチジクなどと比べてやや硬い。包丁の動かし方や力加減を誤ると、ケーキが崩れてしまう可能性もある。
ケーキをホールで買った際にはどのように包丁を入れるのが良いのか。
「お刺身と同じで、力任せに包丁を下に押して切れるものではありません。包丁を前後に綺麗に『押して引く』という基本を守ることが大事です」
さらに吉田さんによれば、包丁を湯煎などで温めるのがコツ。包丁を温かくすることで、刃にクリームがつきづらくなる。1回切り分けるたびに、湯煎で包丁を温めてからケーキに刃を入れると綺麗に切り分けやすくなるという。SNS上で話題になった動画でも、ケーキに刃を通す度に画面の外で包丁を調整していた。
綺麗に等分するには?
またケーキを等しく切り分けるなら、4、8、12など4の倍数で切り分けるのがおすすめだという。
しかし近江屋洋菓子店では、目印もなく綺麗に10等分にカットしていた。どうやって切り分けているのか。吉田さんは、「半分という目安を作る」ことがコツだと話す。
10等分にする場合は、まずケーキを2等分する。今度は半分になったケーキを5等分にしなければならないが、1つ目は5分の1のサイズをイメージして切り離す。そして残ったものを半分に、そしてそれをさらに半分にカットすれば10分の1サイズのカットケーキになる。できるだけ「半分」に切り分けることを意識して、順番に切っていくと等分しやすい。
SNS上で話題になった近江屋洋菓子店のシャインマスカットケーキを切り分ける動画投稿は、21日17時現在までに1.3万回リツイートされ、7万の「いいね」が寄せられた。吉田さんは反響に「正直に言うとびっくりしています」と驚く。
「いろんな方々に近江屋洋菓子店を知ってもらう良いきっかけになったと思います。今までフォロワーで近江屋洋菓子店を知ってくださっていた方々はもちろん、近江屋洋菓子店を知らなかった人々、全ての方々に感謝しています。
『技術に感動した』などポジティブな声を多くいただきました。その声を裏切らないように、従業員一同、お客様に失礼のないようなケーキを作って届けていきますので、楽しんでいただけたらと思います」
近江屋洋菓子店のコンセプトは「リーズナブルだけどチープでないものを」。老若男女問わずだれからも愛されるケーキを目指しているという。コロナ禍の今だからこそ、家族でケーキを囲んでコミュニケーションのきっかけとしても活用してほしいと話した。
(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)
フルーツタルトのカットシリーズ
— 近江屋洋菓子店 (@omiyayogashiten) October 19, 2021
「シャインマスカット編」
近江屋洋菓子店のケーキ中でもシャインマスカットや巨峰などこ葡萄種が1番切るのが難しいです、ちゃんと綺麗に包丁が入らないとすぐに崩れてしまいます
今日はどうでしょう…うん!綺麗に切れていますね!毎日切磋琢磨して頑張ります pic.twitter.com/LnBcbYYAEi