所得倍増は「リップサービス。選挙で通用しにくい」 岸田首相の政策が衆院選公約から消えた理由

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「自民党内では通りがよかったが、選挙では言葉尻を捉えられる」

   所得倍増など総裁選での言葉が公約にないことについて、政治評論家の有馬晴海さんは10月15日、J-CASTニュースの取材にこう話した。

「所得倍増は元々、池田勇人首相が唱えたもので、田園都市構想は、大平正芳首相です。現在は岸田派になった『宏池会』の伝統的な政策で、保守本流のよき時代に戻りたいとの思いを喚起し、自民党の中では通りがよかったわけです。ただ、選挙になると、所得が2倍になるのかと野党などから言葉尻を捉えられ、説明がつかなくなります。あくまでも、バラ色の言葉によるリップサービスですので、選挙では通用しにくいと公約では引っ込めたわけです」

   他派閥への自身の「聞く力」を発揮した結果、岸田カラーが薄まったといった可能性については、有馬さんは、こんな見方を示した。

「安倍晋三さんが総裁選で支援した高市さんが、公約のたたき台を作っており、岸田さんも、勝たせようとしてくれた人たちを裏切るわけにはいきません。また、支持率を気にして日程を早めたほど、今回の選挙は楽な戦いではありませんので、党内のバランスが悪いと、他派閥から文句が出て一枚岩で戦えなくなります。岸田さんの個性を出して余計なことを言うと責任を取るよう言われるので、マイナスになるような公約は止めたのだと思います」

   金融所得課税強化を公約に出さなかったことについては、株価が下がって経済界が期待していないことが分かったからだといい、子育て世代への住居・教育費支援を明記しなかったのは、子供1人当たり10万円の給付金を出すと公約した公明党に配慮したのではないかという。

   健康危機管理庁の新設については、実現するのがなかなか難しかったのではないかとみる。党役員任期を連続3期までとすることには、二階俊博氏が幹事長でなくなった今は追及されるようなケースが乏しいだけで、岸田氏が撤回しておらずまだ生きているのではないかとしている。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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